・・・「政治的に利用してあるパンフレットの如きは一部一法二五。十部十二法。百部百法。五百部四五〇法。千部七五〇法というような割引率で、数万を頒布している」。 ジイドの「感覚の玄人」の腕に魅せられた人々は、今猶上に引いた序文の言葉の魔術や、八方・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・今日の女性はもっと自分たちの生活の現実から本を読むし、漫然とした感想風な著作にあき足りないひとは、そこに専門的な精密さをもとめて、例えば谷野せつ氏の最近の女子労務者の生活調査を扱ったパンフレットなどをも深い関心で見ていると思う。 それが・・・ 宮本百合子 「女性の書く本」
・・・楕円形の大テーブルに、ソヴェト内地旅行案内のパンフレットや対外文化連絡協会の週刊雑誌などがきちんとならべてあった。 СССР地図を後にして一人のソヴェト的紳士がかけている。室の真ん中にタイプライターが一台おいてあり、それに向ってほっそり・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・ 対外文化協会発行のパンフレットは 新しい共同厨房の蒸気釜の写真をのせる。「食う準備」は人類が獣の皮を腰に巻きつけて棍棒と石でマンモスと戦った時代からの問題であった。 スパルタ以来最も台所から解放された市民はモスクと New Y・・・ 宮本百合子 「一九二九年一月――二月」
・・・といういくつかの演説をあつめたパンフレットの中で、熱心に、再建設期のソヴェト劇場の任務について云っている。「劇場には、新しい任務がある。 劇場は上演を通して観衆の、オブローモフ主義、色情狂、悲観主義に対して闘おうとする意志を強める役・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・筆の立つ人であるらしく、数年前或る役所からこの人の名で独特なパンフレットが出ていたような覚えがある。いろいろを考えると、「作家」という名詞の包括力の大さに、慨歎せざるを得ないわけである。 「新日本文化の会」の結成・・・ 宮本百合子 「近頃の話題」
・・・『アカハタ』第一号がパンフレットの形で発刊された。日本にはじめて共産党の機関紙が合法的に出版された。代々木に党本部の事務所がもたれた。私も入党した。十二月、この本部の二階広間の畳の上で、合法的第一回、実質的には第四回大会がもたれた。五百・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・十月十日に解放された徳田・志賀の名で発表されたパンフレット型の「赤旗」は重吉がかえって間もなく出版され、広い範囲での話題となっていた。其を読むほどの人々は、様々な期待、要求、満足、不満足に、おのずからこの十数年間濃くされて来た個人個人の気質・・・ 宮本百合子 「風知草」
・・・電車の中なんかでは軽い雑誌とかパンフレットでもよむべきだって、その女のひとは云うんです」「何てわからないんだろう! そのひと」多喜子が、怒ったように小枝子に振向いて訊いた。「生意気だって云うの?」「さあ。――とにかく机に向わなけ・・・ 宮本百合子 「二人いるとき」
・・・ この期間にフロレンスは医学調査会の報告や、衛生局のパンフレットや、病院、孤児院などの沿革をむさぼり読んだ。ロンドンの社交季節の閑をぬすんで貧民学校や救護所の見学をした。両親との贅沢な外国旅行の間に、暇を見つけては病院めぐりをし、貧民窟・・・ 宮本百合子 「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」
出典:青空文庫