・・・芸者というものを、全婦人があこがれている文化の美しい化身であるかのように書いた。こういう婦人の観かたと、ゴーリキイが、私に日本の婦人は出版の自由をもっているかと聞いたそういう具体的な、そして健康な着眼との相違が当時も深く心に刻まれたのであっ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイによって描かれた婦人」
・・・ナロードニキである学生達は民衆を叡智と精神美と善良との化身、「すべての美なるもの、正義あるもの、崇厳なものの原理の所有者」のように話すのであったが、ゴーリキイが物心つくとからその中に揉まれ、それと闘って来た現実生活の下で、彼は「このような民・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・学生達は民衆を叡知と、精神美と善良との化身のように話すのであったが、ゴーリキイが物心つくとからその日までその中に揉まれ、それと闘って来た現実生活の下で、彼は「このような民衆を知らなかった」のである。 一八八〇年代のロシアにおける急進的な・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
・・・彼らは民衆を叡智と、精神美と善良の化身のように云うが、ゴーリキイが五つの年から観察し、まもれ、闘って来ている現実の生活で、彼は「このような民衆を知らなかった。」 パン焼場での労働は学生達の集会へ出ることを不可能にした。当時の急進的学生は・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
出典:青空文庫