・・・ 文学の論議が、これ等の文化組織の設立に前後して、異様な一方性をもって政論化されて来たことは一つの画期的特色である。文学と大衆との無批判性、大人の文学、文学における日本的なものの強調等は、文学の全体としての健全な発展のために自省され、再・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・ 今年はひろい規模で様々の祝典が催されたり、日本の歴史の上での記念すべき年として予定されているわけですが、日常生活が市民一般にあらわしている相貌に於ても、現実的にごく画期的なものをもっているのは興味ふかいところであると思います。私たち普・・・ 宮本百合子 「歳々是好年」
・・・ 社会主義的リアリズムの問題の提起は、ソヴェト同盟を先頭として国際的プロレタリアートの勢力がますます結集されつつあること、また、各国の広汎な大衆がプロレタリアートの革命に協力する可能性が画期的に高揚してきていることを示す深刻な事業である・・・ 宮本百合子 「社会主義リアリズムの問題について」
・・・ 当時の気分にとってこれは便宜な考え方であったかも知れないが、明治以来の日本文学の成長のためには画期的な一つの蹉きとなったと思われる。自然主義以来発達して来た個人主義的なリアリズムがその十年の間にようよう社会的なリアリズムにまで成長しか・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
歴史の可能は、いつの時代にも青春のうちに見出されて来た。日本の青春が明日に可能としている運命は、何と大きく画期的であるだろう。 この予想は、きのうまで日本の青春が、あのようにもむごたらしく戦争の轍にひしがれて来たことに・・・ 宮本百合子 「序(『日本の青春』)」
・・・世界の民主主義が、近代の仮面をかぶった封建性を打破ったということは、人類史の上での特筆大書されなければならない画期的事件である。人類の文化史はここで旧時代の一巻を終った。私達は、おさえることの出来ない歓喜と期待とをもって、明日の世界へと私達・・・ 宮本百合子 「新世界の富」
・・・ 芸術家としての内部的発展をいうならば、画期的な作の描かれた思い出が語られている。 二十六歳に花ざかりを描いた画家が何故十九年の後、四十五歳で焔をとして大正七年のであろうか。 その後は、境地がなごんで「天女」をかいたといううつり・・・ 宮本百合子 「「青眉抄」について」
・・・ 同志神近は、作家同盟が画期的な実質的再編成として組織活動に着手したことを意味しているのであろうか? あるいは文学におけるレーニン的段階の確立のための推進、文学における党派性などについての理解が、彼女には「極左的」な響と感じられているの・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・それ故詳しく具体的に見れば、今日の大衆の実質の中には、画期的な多量さで知識人要素が内包されて来ているわけである。大衆の質も量も、この十年間に大いに変化して来ていることは否めない事実なのである。 日本に解放運動の思想が入って来た時分と今日・・・ 宮本百合子 「全体主義への吟味」
・・・ 最近二、三年のあいだに、五〇〇万人の労働者が組織されて画期的な闘争が経験された。積極的にそれらの経験をした人の中から、こんにちこの言葉が実感をもっていわれているのは、労働者の文学がただ政治・経済闘争の反映だけでは足りないと自覚されてき・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
出典:青空文庫