衣打つ
光沢を出したり、柔らかくしたりするために布を砧 (きぬた) で打つ。「白妙の—・つ砧の音もかすかに」〈源・夕顔〉
衣片敷く
着物の片袖を敷いて寝る。独り寝をする。「さむしろに—・き今宵もや我を待つらむ宇治の橋姫」〈古今・恋四〉
衣の裏の珠
《「法華経」五百弟子受記品に書かれた故事から》過去に大乗の教えを授けられたのに忘れてしまって悟れずにいたのが、今釈尊の教えによって悟ることができたというたとえ。また、本来持っていた仏性のたとえ。衣の珠。
衣の珠
「衣の裏の珠」に同じ。
衣は骭に至り袖腕に至る
《頼山陽「前兵児謡」から》短い着物を着て、すねと腕をまる出しにしている。剛健な気風をいう。
衣を返す
衣を裏返しに着る。こうして寝ると思う人を夢に見ることができるという俗信があった。「いとせめて恋しき時はむばたまの夜の—・してぞ着る」〈古今・恋二〉
ころもがい【衣貝】
コロモガイ科の巻き貝。浅海の砂泥底にすむ。貝殻は紡錘形で、殻高約7センチ。殻表は茶褐色で、螺層 (らそう) は階段状に角ばり、太い縦の肋 (ろく) と螺肋 (らろく) とが刻まれている。ふたはない。本州中部以南に分布。
ころもがえ【衣替え/更衣】
[名](スル) 1 別の衣服に着替えること。特に夏冬の季節に応じて改めること。平安時代には、陰暦4月1日、10月1日に行われた。江戸幕府では、このほかに5月5日・9月9日などにも着替える定めがあった。現在では、一般に6月1日と10月1日に主に制服について行われる。《季 夏》「かへるさや胸かきあはす—/白雄」 2 飾りつけをすっかり替えたり、商売を替えたりすること。「クリスマスをひかえて商店街がすっかり—する」 3 男女が互いに衣服を取り替えて寝ること。「—せむやさ公達 (きむだち) や」〈催馬楽・更衣〉 [補説]曲名別項。→更衣
ころもがゆ【衣粥】
比叡山延暦寺で、陰暦11月24日の天台大師の忌日に作るかゆ。小豆や団子を入れる。霜月がゆ。知恵がゆ。
ころもじらみ【衣虱】
ヒトジラミの亜種。体は淡黄色または白色。体長は約3.5ミリ。人の衣類に覆われた部分に寄生。発疹 (ほっしん) チフス・回帰熱などを媒介する。きものじらみ。