[形シク]《「おなし」とも》形容動詞「おなじ」に同じ。体言に続くときには、連体形「おなじき」のほか、和文脈のものでは語幹「おなじ」がそのまま用いられることが多かった。
  • 「あしひきの山は無くもが月見れば—・じき里を心隔てつ」〈・四〇七六〉
「—・じ程、それより下﨟の更衣たちは」〈桐壺

《「おなし」とも》

[形動]《形容詞「おなじ」の形容動詞化》
  1. 別のものではなく、そのものであるさま。同一である。「—学校の卒業生」「行きと—船で帰る」

  1. 二つ以上のものの内容状態などに区別がないさま。同様である。「収入支出が—だ」「やってもやらなくても—ことだ」

[補説]連体形に「おなじ」「おなじな」の二形がある。一般には「おなじ」の形が用いられるが、助詞「の」や「ので」「のに」などに続くときには「おなじな」の形が用いられる。「服装おなじなので、見分けがつきにくい」
[副](多く「おなじ…なら」の形で)どうせ。どっちみち。「—買うなら安いほうがいい」
[用法]おなじ・[用法]ひとしい——「訪ねてきたのは昨日と同じ人だった」「彼のかばんは私のと同じだ」のように、人や物、あるいは種類性質などに相違点がない場合には「同じ」を用い、「等しい」とはいわない。◇これに対して「児戯に等しい」「詐欺にも等しい行為」など、異質のものでも状態様子が互いに非常によく似ているときに、「等しい」が用いられる。◇「同じ(等しい)圧力を加える」「AとBとは長さが同じ(等しい)」などのように、物理的・数量的に同一場合には相通じて用いられるが、物理学・数学などでは多く「等しい」を使う。

出典:青空文庫

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