によって/で/でもって/をもって/を通して の解説 - 小学館 類語例解辞典

によって/で/でもって/をもって/を通して の共通する意味

動作の主体・仲介・手段・根拠・原因を表わす。

によって/で/でもって/をもって/を通して の使い方

によって
▽ウイルスによって伝染していく病気 ▽事業に失敗したことによって大きな痛手を受ける ▽一瞬の判断によって勝敗が決まる
▽ヨットで太平洋を渡る ▽すぐれた演技力で注目を集める
でもって
▽書面でもって申し入れをする ▽子供だけでもって、山に登るのは危険だ
をもって
▽裏切りには裏切りをもって報いる ▽その罪人は謀反のかどをもって極刑に処せられた
を通して
▽相撲は直接見るのとブラウン管を通して見るのとでは迫力が全く違う ▽文通を通しての交際

によって/で/でもって/をもって/を通して の使い分け

「によって」は、??受身の動詞が表わす動作の主体(仲介者)、??手段・方法・材料・仲介物、??現象や判断の拠りどころ(根拠)、??由来・原因、を表わすが、??以外は格助詞「で」で言い換えることができる。??の中でも、「新聞紙蜂をたたいた」のように、何かを行う際に一時利用するにすぎない媒介的な道具類には、「によって」は使えない。「ボールペンによって書く」と言えないのと同様である。
「電話によってのいやがらせ」は、「電話によるいやがらせ」の方が一般的。「新内閣による改革政治」「集中豪雨による被害」なども同じ。
「によって」と同じように「により」も使われるが、書き言葉に多く見られる。「都合により欠席いたします」
「でもって」「をもって」は、手段・方法・材料・仲介物・根拠などを表わす。最も広く一般的に用いられる「によって」にくらべると、「をもって」はかなり改まった感じを与え、普通の会話などには使えない。「でもって」は格助詞「で」を強めた表現。「でもって」と「によって」は、ほぼ入れ換えが可能だが、「でもって」の場合は「新聞紙でもって蜂をたたく」のような媒介的な道具類にも使える点が違う。
「をもって」には、「今日の医学をもってしても治療法のない難病」「君の学力をもってすれば入れない大学はない」のような、「をもってしても」「をもってすれば」といった、ほかには見られない用法がある。
「を通して」は、人物や物事を仲立ちとして何かを行うことを表わす表現で、「によって」より間接的である。…を経由して、…を手段として、の意味になる場合もある。

によって/で/でもって/をもって/を通して の関連語

によると・によれば
情報の出所を明らかにするときに使う。文末が伝聞を示す「という(ことだ)」「と言われている」「そうだ」などになることが多い。「老人の語るところによると、このあたりには古い言い伝えが沢山あるそうだ」「天気予報によれば、この週末は天気に恵まれるという」
を通じて
「を通して」の類似表現だが、使用範囲がやや狭い。「大使館を通じて現地の情報を得た」「書物を通じての知識だけで現実を知らない」
につき
理由を表わす表現で、通知文、掲示物などによく使われる。一種の決まり文句になっていて、文語的で改まった印象を与えるため、会話には用いられない。「店内改装につき八月まで休業いたします」「標記の件につき討議致したく…」
にして
「一日」「一言」などの最低限を表わす語を受けて強調する表現で、文語的・慣用的である。「ローマは一日にして成らず」「私なら一言にして答えることができる」

によって/で/でもって/をもって/を通して の類語対比表

法律…罰せられる図鑑…「蜂」を調べた新聞紙…蜂をたたいた古代人…描かれた壁画知り合い…就職口を探す
によって
でもって
をもって
を通して