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・・・九尺の土の重さを受けておるというのは甚だ苦しいわけだから此上に大きな石塔なんどを据えられては堪まらぬ。石塔は無しにしてくれとかねがね遺言して置いたが、石塔が無くては体裁が悪いなんていうので大きなやつか何かを据えられては実に堪まるものじゃ無い・・・
正岡子規
「死後」
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・・・友達が醵金して拵えてくれた石塔も立派に出来た。四角な台石の上に大理石の丸いのとは少としゃれ過ぎたがなかなか骨は折れて居る。彼らが死者に対して厚いのは実に感ずべき者だ。が先日ここで落ちあった二人の話で見ると、石塔は建てたが遺稿は出来ないという・・・
正岡子規
「墓」