・・・それにいろいろな雑誌の切抜きなどの整理新聞のせいり等、はっきりその必要とやりかたが分った折から、M子さんが小遣いも入用なので、一週定期的にセクレタリーをやってくれることになり、あなたからの本の御注文も古今未曾有のカード式整理方法によって整理・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・プロレタリア文学運動の初期に、芸術と政治・政治の優位性が提起された時代には、政治の優位性の素朴な理解は、直接その論を主張した人々の実践に反映してよい結果も悪い結果もその人たちによって刈りとられた。けれどもこんにち、政党、組合その他の大衆団体・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・ お詣りの定期が終ったばかりだそうで、土産ものやの前は閑散であるし、虎丸旅館と大看板を下げたその家もしずかである。朝飯のとき前もってきめられていた方の室へ落付くと、石段町の裏の眺めはなかなか風情があった。古風なその一室は、余り高くない裏・・・ 宮本百合子 「琴平」
・・・経験は、人間生活における一つの問題提起として作家にとり上げられるというよりも、むしろそれは、その経験が終ったところで作品のテーマの展開も終ってしまう話として語られている傾きがつよくはないだろうか。すべての経験が経験されたあとに、わたしたちの・・・ 宮本百合子 「作品と生活のこと」
・・・ こういう惨澹たる日本の現実は、十何年かの昔、日本文学の発展途上に提起されていたいくつかの重要な課題について、その後今日まで、一度もまともにとりあげ話しあう折を与えずにきた。研究し、討議され、なっとくを深める機会を得ずにきている。日本の・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・ 第一次五ヵ年計画のおおうべくもない達成、ひきつづき発表された第二次五ヵ年計画の基本的方針とともに、ソヴェト同盟がプロレタリア文学運動の領域において、社会主義的リアリズムの問題を国際的に提起したことはわれわれにとって実に興味あ・・・ 宮本百合子 「社会主義リアリズムの問題について」
一 一九二八年九月二十八日、私ともう一人の連れとは、チフリスから夜行でバクーへやって来た。 有名な定期市が終った朝、ニージュニ・ノヴゴロドからイリイッチ号という小ざっぱりした周遊船にのって、秋・・・ 宮本百合子 「石油の都バクーへ」
・・・『新日本文学』の発行が用紙問題で定期的にゆかないということは、新日本文学会全体の活動に、重大なマイナスとなっていることは、皆さま、御覧になるとおりです。たとえば、徳永直さんの「妻よ眠れ」という小説は、『新日本文学』創刊号からのせられはじ・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・例えばモスクワの郵電省の一部に特別なラジオ学校見たいなものがあって、直接産業別の労働組合と連絡をとって、定期に専門講演を放送してモスクワ以外の工場都市の労働者教育に貢献している。 農村でもラジオは非常に発達して、モスクワから何百露里も離・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の芝居・キネマ・ラジオ」
・・・口の中には沢山のバチルスをもっているというようなことは子供の時から教えられて居る、そういうスローガンが衛生教育の一つの定規になっている位だ。 * 共産青年団員は握手はしない。ピオニェルも握手しない。それで先ず・・・ 宮本百合子 「ソヴェトに於ける「恋愛の自由」に就て」
出典:青空文庫