思想問題とか、失業問題とかいうような、当面の問題に関しては、何人もこれを社会問題として論議し、対策をするけれど、老人とか、児童とかのように、現役の人員ならざるものに対しては、それ等の利害得失について、これを忘却しないまでも、兎角、等閑・・・ 小川未明 「児童の解放擁護」
・・・従って自然に人員の個性がただ一色に近づいて来るという傾向が生じたのではないかという気がする。どちらがいいか悪いかは別問題であるが、昔の人選法も考えようによってはかえって合理的であるかもしれない。学風の新鮮を保ち沈滞を防ぐためにはやはりなるべ・・・ 寺田寅彦 「相撲」
・・・数え来れば少からぬ人員となる。是の人員が一団をなして業を営む時には、ここに此の一団固有の天地の造り出されるのは自然の勢である。同じ銀座通に軒を連ねて同じ営業をしていても、其店々によって店の風がちがって来ることになる。店の風がちがえば客の種類・・・ 永井荷風 「申訳」
・・・たとえば、各地方に令して就学適齢の人員を調査し、就学者の多寡をかぞえ、人口と就学者との割合を比例し、または諸学校の地位・履歴、その資本の出処・保存の方法を具申せしめ、時としては吏人を地方に派出して諸件を監督せしむる等、すべて学校の管理に関す・・・ 福沢諭吉 「学問の独立」
・・・よってこのたびはまた、社中申合わせ、汐留奥平侯の屋鋪うちにあきたる長屋を借用し、かりに義塾出張の講堂となし、生徒の人員を限らず、教授の行届くだけ、つとめて初学の人を導かんとするに決せり。日本国中の人、商工農士の差別なく、洋学に志あらん者は来・・・ 福沢諭吉 「慶応義塾新議」
・・・ 日本のファシズムは、本年に入ってから、特に国鉄をはじめとして大量の人員整理をはじめてから、ひどい勢いで各方面で人民生活をかみやぶりはじめました。 わたしたちの民族独立への希望や、文化の自立への希望――つまり独立した社会人として当然・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・つまり各農戸の人員を数えず、バラビンスキー地方一帯、牛一匹一年六・六ツェントネル平均として協定標準が定っていた。各農家別にすると、一頭持 四・六二頭持 六・〇三頭持 七・五 ところが今年は当地方平均一頭宛・・・ 宮本百合子 「新しきシベリアを横切る」
・・・ 日本の勤労人員の幾割が農民であろうか。 約四十八パアセントが農業に従っている。 そのうち女性は何割だろう。 四十三パアセント強約六百三十二万人は女子及び子供である。そして、昭和十一年の調査によると、小学校を卒業した子供たち・・・ 宮本百合子 「新しき大地」
・・・そして「ギャラップの調査員は大部分が女子で、しかも一定の割当人員のだれを選ぶかは調査員自身の決定にまかしてあるため、労働者や下層階級の人を避ける傾向があり、従って多く民主党支持である下層階級の意見が適当に代表されなかったのは、リテラリ・ダイ・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・証拠に、全文盲人員の中、三千四百五十七万六千百二十八人は文字のわからない勤労婦人だった。 ところが、文盲撲滅の文化運動は、社会主義社会に生きる勤労者からの自発的な要求で、急テンポに進んだ。 昔、地主に欅の枝の鞭でひっぱたかれた時分は・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
出典:青空文庫