旧社会保険庁によって、公的年金の加入・納付記録が長年にわたってずさんに管理されていた問題。基礎年金番号の導入に伴い、紙台帳などで管理されていた過去の国民年金・厚生年金・共済年金の年金加入記録をオンライン化する作業が行われた際、平成19年(2007)に、基礎年金番号に統合されていない年金記録が約5100万件あることが判明。その後、他にもオンライン化されていない年金記録が約1430万件あることが報告された。これらの年金記録は加入者が特定できないことから「宙に浮いた年金」と呼ばれる。一方、加入者の手元には保険料を納付した領収書等が残っているにもかかわらず、社会保険庁には記録がない事例があることも発覚(「消えた年金」)。さらに、厚生年金保険料の徴収率を高く見せかけたい社会保険事務所と保険料負担を減らしたい事業主の思惑が一致し、社会保険事務所の職員が、標準報酬月額を実際よりも大幅に引き下げたり、会社が倒産したことにして厚生年金から偽装脱退させるなどの手口で年金記録を改竄 (かいざん) していたことも判明した(「消された年金」)。