枕浮く
涙で枕が浮く。枕が浮くほどに、寝ながらひどく泣く。「涙落つとも覚えぬに、—・くばかりになりにけり」〈源・須磨〉
枕が上がらない
病気が治らず床から起き上がれない。「倒れてから半年たっても—◦ない」
枕片去る
枕を床の片側に寄せて寝る。また、枕の片側をあけて寝る。上代、夫や恋人を待って一人で寝るようすをいう。「ここだくに思ひけめかもしきたへの—・る夢に見え来し」〈万・六三三〉
枕定む
1 寝るときに、頭にする方向を定める。枕の向きによって恋人の夢が見られるとされた。「夕さればわが身のみこそ悲しけれいづれの方に—・めむ」〈後撰・恋三〉 2 男女が一緒に寝る。共寝する。「思ひのままに—・めて語らんものを」〈浮・五人女・三〉 3 遊里で、相手の女性を定める。「それに—・めんといふを聞きて」〈浮・一代男・五〉
枕と枕く
枕にして寝る。「沖つ波来寄する荒磯 (ありそ) をしきたへの—・きて寝 (な) せる君かも」〈万・二二二〉
枕に就く
床に就く。寝る。「安堵して既に—・かんとする頃」〈染崎延房・近世紀聞〉
枕枕く
枕として寝る。「道の後 (しり) 古波陀嬢子 (こはだをとめ) を神の如 (ごと) 聞こえしかども相—・く」〈記・中・歌謡〉
枕結ぶ
草を結んで枕にする。旅寝する。「行末はいまいくよとか磐代 (いはしろ) の岡のかやねに—・ばむ」〈新古今・羇旅〉
枕を重ねる
男女がたびたび一緒に寝る。情交を重ねる。「人目を忍んで—・ねる」
枕を交わす
男女が共に寝る。「—・した仲」