・・・ 中野さんが全力をつくして対象に引組むことでそういう部分を内面的にも発展させ切ってしまうための本気な努力を益々継続することを心から期待してやまない。 これらは作家の発展の途についての感想であるが、私はこの作品を読んで更にもう一つのこ・・・ 宮本百合子 「鼓舞さるべき仕事」
・・・普通の言葉でこれを云うと、横光氏の生活、思想態度は頭の中でだけ描かれ組立てられていて、現実の矛盾にとり組む芸術的リアリティーをもっていないから未しであるという意味なのである。 かかる有様で、プロレタリア文学運動の退潮後、文学論議は混迷し・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・作家が身一つで現実ととり組むというとき、その身一つがぎりぎりのところで結局わが身一つである以上、そのわが身を我れとどう見て扱っているのだろうかということも、身につまされて自然の心がかりとなって来る。これらは総て、求められている或るものを射よ・・・ 宮本百合子 「人生の共感」
・・・男のひとも家庭と妻との概念を変え、互に、愛し合う男と女とが生活に向ってスクラムを組む心持でなくては駄目と思います。〔一九三七年五月〕 宮本百合子 「働く婦人の結婚について」
・・・プレットニョフのすすめで科学にとり組む仕事をはじめた。小学教師の試験をうけるようにというのであった。 独習者の新鮮、真面目な努力で、どんなに若いゴーリキイが、この科学の克服に熱中したかということは想像される。そして、このむずかしい仕事の・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
・・・一つの国の人間が先ず列をつくることを教えられ、やがて自分たちで列をつくるようになり、追々自分たちの生活の実際の向上のために列を組むように成長してゆく過程は、実に多岐であり波瀾重畳であると思う。ひとくちに人の列と云えばそれまでだが、列をなす一・・・ 宮本百合子 「列のこころ」
出典:青空文庫