・・・めに結婚はするものだ、という一見堅実そうな昔ながらの態度とが、その実は背中合わせにくっついていて、どちらも私たち人間の生の意味は一歩から一歩へと成長をうけつがれるべきもので、自身の世代にどこまでそれを達成させたかということこそ、生涯の課題で・・・ 宮本百合子 「結婚論の性格」
・・・五ヵ年計画の達成は、ただ彼等の財布へ七一パーセント増した賃銀をもち来すに止まらないことを。それは現在四千万人近いプロレタリアートを失業につき落して餓えさせている世界資本主義に対する共産主義の断然たる勝利を意味するのであることを。ソヴェト同盟・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・その母親たちの痛切な希願の何割が、八年制の国民学校になったために達成されるであろうかと考えられる。学校へ行ける子と行けない子の人生への心持の開きが大きくなるようだと、そこにはやはり問題があると思えるのである。 国民学校での教育方針も様々・・・ 宮本百合子 「国民学校への過程」
・・・ストライキの時代には、ひまがなくて、その人として書きたいと思いながら書けずにいたことを今書こうとする時間をもてば、もう一般情勢は中国革命の達成、労働者の主導的任務の強調におかれている、そのくいちがいもある。また一九四六―七年にかけて労働者階・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・文盲者率の最も高い人民栄養労働者が彼らの文化革命と社会主義建設を達成すべき細胞である。 廊下を通る日本女の空色ヤカンは「赤い隅」の赤い色をポッチリ鮮やかに映した。隣の出版従業員組合クラブからの赤旗の歌で響くこともある。 砂糖をわ・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・彼の帝国博物館総長図書頭という官職は果して彼の文学的達成にプラスとなっているのみであろうか。伝記を読むと彼はその官職に就いて辞令をうけた日、従来一個の文学者としての立場からその学芸欄に関係を持っていた諸新聞と、改めて関係を断っている。このよ・・・ 宮本百合子 「今日の文学の鳥瞰図」
・・・ こう考えて来ると、すべての作家たちは、これらの課題がつまりは全く根本的な文学そのものの生ける課題であって、その達成をめざして、めいめいにこれ迄も努力し、或は迷って来てもいたのだと思うしかないのだろうと思う。 国民の文学と呼ぶに足る・・・ 宮本百合子 「実感への求め」
・・・この問題は、長年ブルジョア女性解放論者によっていわれてきたような、女性の主観的がんばりだけで達成されるものでもないし、戦時中の政府が戦争目的のために婦人技術者を養成して、いまはそれ等の人の中から売笑婦が出るような状態につきおとしているやり方・・・ 宮本百合子 「質問へのお答え」
第一次五ヵ年計画のおおうべくもない達成、ひきつづき発表された第二次五ヵ年計画の基本的方針とともに、ソヴェト同盟がプロレタリア文学運動の領域において、社会主義的リアリズムの問題を国際的に提起したことはわれわれにとって実に興味・・・ 宮本百合子 「社会主義リアリズムの問題について」
・・・けれども、未来の達成を信じて生きてゆくものの一人として、わたしはこの一冊の小さい本を、すべての人々の明日の可能性にむかってささげる。 一九四七年六月〔一九四七年八月〕 宮本百合子 「序(『歌声よ、おこれ』)」
出典:青空文庫