・・・がこの作者としてのある達成を示しつつ作品にもられている人間情感の性質に於ては古い日本の人情の世界に止まっていることも思いあわされる。高見順と共に新人として登場した丹羽文雄の作品などもその世界に生きる人間群の現実的な生活のモティーヴだの動向だ・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・ 十数年来婦選のために力をつくして来た種々の婦人団体は昭和九年以来、方向転換して母子保護法の達成に協力することとなり、十二年それが可決されてのち、婦選運動家たちの動きは、時局に際して一種の名状しがたい消極的混乱におかれるに到った。「時局・・・ 宮本百合子 「女性の歴史の七十四年」
・・・除村吉太郎氏の紹介に記されているソヴェト同盟の第一次五ヵ年計画達成以後の文学的年代は、その大なる積極面として、はっきり、ソヴェト社会の特殊性によって生みだされ、育てられ、人間となった新しい市民としての作家を、素人作家という形でおくり出したの・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・ ブルジョア民主主義の達成が眼目ではあるけれども、その歴史的担当者であるブルジョアジーというものは、日本ではヨーロッパ諸国のブルジョアジーとまったく違った経歴をもってきています。明治維新に新しい権力者となった封建領主、下級武士たちが半封・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・一九二二年――九分八厘一九二五年――二割一九二七年――二割一分四厘一九二九年――二割七分五厘 ソヴェト同盟の勤労婦人は自分の国の社会主義社会を達成させるため、一日も早く世界の姉妹を幸福にするため、こうしてソヴェト・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の婦人と選挙」
・・・世界の人民の解放と民族自立との社会主義達成のために、ソヴェトの生産労働に従う精鋭な前衛と、各国内の前進している労働者とは一身同体だ。まして、ソヴェトの五ヵ年計画の進行と、資本主義国の経済恐慌との開きはますます地球上ただ一つのプロレタリアの国・・・ 宮本百合子 「ソヴェト文壇の現状」
・・・提案の主旨は日本の人民的な民主主義革命を達成する主導力は、労働者階級であるという点から出発した。一九四八年二月の新日本文学をみると徳永直は「勤労者文学をもっと前におし出すこと」という表題で、みじかい文章をかいている。そのなかで彼が第三回大会・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・p.174ドイツ 小説の主人公はマイスターを典型として統一の方向をとり、力は集合され、人間はドイツ的理想にまで成長し、堪能となり混沌としていた要素は達成された静けさの中に結晶しつつ澄んで来て、修業時代からマイスターが出て来るのであ・・・ 宮本百合子 「ツワイク「三人の巨匠」」
・・・若い愛がまともに達成されず、途中で挫かれ、初々しい真摯さを愚弄されるために、いかほど、人間への信頼を失って肉体と精神との漂流をつづけている人があるだろう。売笑婦の増大、半売笑婦人の増大は、偽善めかした貞操論者の顔の上へはきかけられた資本主義・・・ 宮本百合子 「貞操について」
・・・進歩的な自由主義者の範囲にまで及んできて、民族の自立とその文化的な伝統さえ抹殺されはじめたとき、世界をとりまく反ファシズム、日本においては特に天皇制的なファシズムへの抗争、人民の力による民主主義革命の達成という課題をもってあらわれました。だ・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
出典:青空文庫