・・・といういわゆる上申書の内容を公表した。「私は実は十一月四日の第一回公判廷において、自分がどの線でゆくのが真実なのか、非常に悩みました。自分が無罪なのか。単独か、共同かという三つのどれもが記憶において錯綜していたからです。」 読者に奇・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・などが好評を博したことによって、もし疾病、不具などだけを階級的な見地から切り離して文学に描く風潮が生じるようなことがあれば、警戒されなければならないであろう。私は、この作者の次の作品を、興味をもって待とうと思う。〔一九三四年十月〕・・・ 宮本百合子 「入選小説「毒」について」
・・・の告発状の中には、検察当局がその作品をちゃんとよんでいない節があることを公表するだろう。ヒダにはさまれてもがくどの虫も、権力によって発せられた告発状そのものが、訴訟法に反してつくられているという事実をもって、法廷にたたかう決意を示したためし・・・ 宮本百合子 「人間性・政治・文学(1)」
・・・千枚近い長篇を熱心に書き通したことは作家としての技術を習熟さすためには大変に役に立った、この作品が比較的好評であったこともあって、それから後いろいろな短篇中篇を書きましたが、どんな題材でも当時の私が書こうとした範囲のものでは一応小説として読・・・ 宮本百合子 「「伸子」について」
・・・を昨年新たな認識で上演し好評を博したことはわれわれの記憶に新しい。その同じ一人の芸術家が今月は『文芸』の誌上で、「父たち母たち」のような作品を示してくれる時、「どん底」を観、その目でこの小説を読みする一人の読者は、全く相似ない両面の心の形に・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
・・・は、まだきょうほどせっぱつまらなかった戦後の懐中に応じて、非常に好評であり、経済的にもあたったとされている。 土方与志氏が、東宝の大世帯の全体を活用しなければならない条件を考慮しながら観てたのしく、新鮮で変化にとみ、下劣でもないよろこび・・・ 宮本百合子 「真夏の夜の夢」
・・・が大好評で入選した。粗末な板壁のある街角で黄色い髪をした小学生たちがふと出合って、互いにはにかんでいる絵は、題材の自然さと、描写の活々としたたしかさとで誰の目にも賞牌候補と思われたが、作者のマリアが、金にこまらない貴族の美しい娘であることが・・・ 宮本百合子 「マリア・バシュキルツェフの日記」
・・・それ故、例えば文芸映画についても、文学作品そのものへの鑑賞が無規準ななりの或る好評に招きよせられて映画化し、その映画化によって、じかに文学作品をよこよりもっとうわすべりな受けいれかたをひろめるという結果も生じ易い。文芸作品が映画化されてゆく・・・ 宮本百合子 「観る人・観せられる人」
・・・ この放送は、譲原さんが自由にしっかりとよく話して、好評だった。 それっきり、わたしは譲原さんに会わずにしまった。去年の夏から自分も具合がわるくて、暮から正月へかけては非常によくない状態におちいった。ときどき譲原さんはどうしているだ・・・ 宮本百合子 「譲原昌子さんについて」
・・・映画の圧倒的好評につれて、第一書房は出版当時はそれぞれ分冊として発売していたパアル・バック夫人の「大地」「母」「息子たち」「分裂せる家」と作者が自分の父母の生涯を描いた二冊の作品とを代表選集として売り出している。 既刊の五冊を読んだ感想・・・ 宮本百合子 「若い婦人のための書棚」
出典:青空文庫