・・・ひとに物を云いつける方法。ひとに物を云いつける方法。第一、ひとにものを云いつけるときはそのいいつけられるものの目方で自分のからだの目方を割って答を見つける。第二、云いつける仕事にその答をかける。第三、その仕事を一ぺん自分で二日間やって見る。・・・ 宮沢賢治 「カイロ団長」
・・・からのち、益々解放運動とその文学運動の中心課題にてい身してゆくにつれ、論策も主としてプロレタリア文化・文学運動の基本的方向の提示とその科学的な方法論にうつって行ったことは現実と実感の必然であった。 短い月日の間に、はげしく推移する情勢に・・・ 宮本百合子 「巖の花」
・・・段々春の云うのを聞いて見れば、味噌も醤油も同じ方法で食っている。内で漬ける漬物も、虎吉が「この大きい分は己の茄子だ」と云って出して食うということである。虎吉は食料は食料で取って、実際食う物は主人の物を食っているのである。春は笑ってこう云った・・・ 森鴎外 「鶏」
優れた作品を書く方法の一つとして、一日に一度は是非自分がその日のうちに死ぬと思うこと、とジッドはいったということであるが、一日に一度ではなくとも、三日に一度は私たちでもそのように思う癖がある。殊に子供を持つようになってからはなおさらそ・・・ 横光利一 「作家の生活」
・・・氏を浪漫的な弱さから連れ出すものは、おそらくこれらの方法のほかにあるまい。 いずれにしても小林氏が自己の直接な感情を画面に投げ出そうとしているのは感情のない画の多い院展日本画にとっては心強い。氏が『竹取物語』のごとき邪路に入らずに、ます・・・ 和辻哲郎 「院展日本画所感」
出典:青空文庫