我とはなしに
自分と同じ身の上ではないのに。「ほととぎす—卯の花のうき世の中になきわたるらむ」〈古今・夏〉
我に返る
1 気を失っていたのが正気づく。「ほおをたたかれて—・る」 2 他に気を取られていたのが、本心に返る。「興奮がさめて—・る」
我にて
自分の経験で。「春はなほ—知りぬ花盛り心のどけき人はあらじな」〈拾遺・春〉
我にもあらず
1 われを忘れて。無我夢中で。「—◦ず言い訳しようとしたのを」〈康成・伊豆の踊子〉 2 自分であるという気がしない。人心地がしない。「御子は—◦ぬけしきにて」〈竹取〉 3 本心からでなく。しぶしぶ。「いたく乞ひければ、—◦で取らせたりければ」〈宇治拾遺・一四〉
我にもなく
無意識のうちに。我を忘れて。「—涙を流す」
我はと思う
自分こそはと、気負ったりうぬぼれたりする。「所につけて—・ひたる女房の」〈枕・三〉
我も我も
大勢が先を争うさま。我がちに。我先に。「—と立候補する」
我も我もと
⇒我も我も
我を忘れる
物事に心を奪われてぼんやりする。興奮して理性を失う。「—・れて夢中になる」
我を我と思う
自分のことを大切に思う。「—・はん者どもは、皆物の具して馳 (は) せ参れ」〈平家・二〉