出典:青空文庫
・・・ 一方には、組織活動をしないでいいとは思わないが、今のままではやり切れない、何とかならないものか、という消極的な、他力本願的気分がある。一方には、現在の状勢でプロレタリア文学運動の確立のために組織活動なしでどうするものぞ、組織活動によっ・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・そういう他力本願の心理的要求が瀰漫している。 より年代の若い人々の間には、また別様の求望がある。社会進化の必然という原理については理性的に十分わかった。自身の生涯の道も、それに呼応するものでしかありえないと思える。だが、その原理の理説に・・・ 宮本百合子 「現代の主題」
・・・現象は、方向を求めつつそれにめぐり会えずにいる広汎な一般人に一層の精神的苦痛、拠りどころなさを与え、根気のつよくない多数の者が、その無価値を知りつつ、半インテリゲンツィア養成の政策的方向におし流されて他力本願的日常に落ちて行ったのであるが、・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・ と、他力本願がさかだちしたタンカもきられている。 講和の問題がおこって来ているにつれ、役人のある種の人たちは、さかんに、日本はまけた国なのだから講和問題について自分から発言する権利はないのだという考えかたを、みんなの頭にしみこまそうと・・・ 宮本百合子 「しようがない、だろうか?」
・・・作家としての自己の人間的探究とか、一定の環境において人間・作家として感じる責任という点は抹殺して、主人公の卑劣さ、劣等ささえ、外部の力のせいであるという他力本願の扱いかたです。これは、過去の文学において、個人の確立がされていなかったことのい・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」