出典:青空文庫
・・・が、その素質によって、短い時間のうちに速かに完成してゆく者と、完成までには、長い時間を要し、さまざまな紆余曲折を経て行く者とがあるだろう。あるいは、いつまでも完成せずに終るたちもあるだろう。あっていい筈である。 短い期間のうちに珠玉のよ・・・ 黒島伝治 「短命長命」
・・・ 女学生への訓話めいているこの言葉は、市民的素直に止って、芸術家松園の内面の紆余曲折を語りあかすには足りないのである。 同じ女が波瀾をしのいで生きるにも、画の世界と文学の世界とではちがったもののあることをも感じる。そしてこういう表現・・・ 宮本百合子 「「青眉抄」について」
・・・そういう場合、その婦人作家の階級作家としての発展の道は、どのような紆余曲折を経るものであろうか。生活の実際問題としてそれ等は未だ解決されていない。それだけプロレタリア婦人作家として重大で困難な社会的実践の問題がふくまれていることを感じるので・・・ 宮本百合子 「夫婦が作家である場合」