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・・・「しろうるり」などという声が耳の中で響き、すまないことだが先生の顔がそのしろうるりに似て来るような気がしたりするのである。 もう一つ気の付いて少し驚いた事は、『徒然草』の中に現れていると思う人生観や道徳観といったようなものの影響が自分の・・・
寺田寅彦
「徒然草の鑑賞」
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・・・しっかりしろう」「しっかりするから、少し待ってくれえ」と碌さんは一生懸命に草のなかを這い上がる。ようやく追いつく碌さんを待ち受けて、「おい何をぐずぐずしているんだ」と圭さんが遣っつける。「だから饂飩じゃ駄目だと云ったんだ。ああ苦・・・
夏目漱石
「二百十日」