まんようい【万葉緯】
江戸中期の編注書。20巻。今井似閑 (いまいじかん) 著。享保2年(1717)ごろ成立か。万葉集の注釈に役立つ古歌・古文を集め、注を施したもの。
まんようがな【万葉仮名】
漢字の表す意味とは関係なく、漢字の音や訓をかりて国語の音を表記するのに用いた漢字。万葉集に多く用いられているので、この名がある。字音によるものとして、阿米(アメ・天)・久尓(クニ・国)・許己呂(ココロ・心)、訓によるものとして、名津蚊為(ナツカシ)・八間跡(ヤマト)・夏樫(ナツカシ)・牡鹿(シカ・助動詞)・喚雞(ツツ・助詞)などの類。なお、訓によるものには、十六(シシ、四四十六の意)・山上復有山(イヅ・出、「出」が「山」を二つ重ねた形になっているところから)などの複雑な使い方もある。なお、1字1音節によるものから、のちにひらがな・かたかなが発生した。真仮名。まんにょうがな。
まんようこう【万葉考】
江戸後期の万葉集の注釈書。10冊。賀茂真淵 (かものまぶち) 著。明和5〜天保6年(1768〜1835)刊。総論で万葉集の時代区分・歌人などを論じ、巻1・2・11・12・13・14の6巻を万葉集の原形として、これに注釈を施したもの。他の14巻については、のちに真淵の草稿本をもとに狛諸成 (こまもろなり) が完成。万葉集考。
まんようしょくぶつ【万葉植物】
万葉集に詠み込まれている植物。ハギ、ウメ、マツ、アシ、ナデシコ、オミナエシ、イネ、ウリなど約160種ある。
まんようだいしょうき【万葉代匠記】
江戸前期の万葉集の注釈書。20巻。契沖著。徳川光圀 (みつくに) の命により、天和3年(1683)着手。初稿本は元禄元年(1688)ごろ、精撰本は同3年成立。万葉集の全巻にわたり詳密な注を加えたもので、以後の万葉集研究の基礎となり、最初の実証的研究書とされる。万葉集代匠記。
まんようちょう【万葉調】
万葉集の歌の特色をなす調べ。一般的には、現実生活における素朴な感動、強い実感を率直に表現し、格調は雄健でおおらか。五七調を主とし、短歌では二句切れ・四句切れが多い。賀茂真淵 (かものまぶち) は「ますらおぶり」と称した。