さらそうじゅ【沙羅双樹】
釈迦しゃかが八十歳で入滅したとき、臥床がしょうの四方にあった二本ずつの沙羅の木。釈迦の入滅を悲しんで、二本のうち一本ずつが枯れたともいい、入滅とともにそれらが白く枯れ変じたともいう。▽「沙羅」は常緑高木。インド原産で、淡黄色の小さな花をつけ、幹は非常に長く伸びる。材質は堅固で建築用木材として適している。「沙」は「しゃ」とも読む。また、「沙」は「娑」とも書く。『平家物語へいけものがたり』の冒頭の句で有名。
じょうじゅうふだん【常住不断】
常に切れ目なく続いていること。絶え間のないこと。▽「常住」は仏教語で、生滅変化することなく、永遠に存在すること。無常の対。「不断」は絶え間なく続くこと。
せいしょうらくしょく【青松落色】
友人との付き合いが途絶えることのたとえ。▽「青松」は常緑樹である松のこと。「落色」は常緑の松の色があせること。青い松がいつまでもその色を保つように、人の心がいつまでも変わらないことを「青松の心」という。
せんいあんか【潜移暗化】
環境や他人からの影響を受けて、いつの間にか自分の性質や考え方が変化していること。▽「潜」も「暗」もひそかに、しらずしらずのうちにの意。「移」「化」は移り変わる、感化される意。「潜ひそかに移うつり暗あんに化かす」と訓読する。
せんしばんたい【千姿万態】
さまざまに異なる姿や形のこと。また、さまざまに姿や形を変えること。▽「千」「万」は数の多いことを示す。「姿態」は姿やからだつき、また形・様子のこと。
ぜんだいみもん【前代未聞】
これまでに聞いたこともないような珍しく変わったこと。また、たいへんな出来事。▽「前代」は現在よりも前の時代、過去。「未聞」は、まだ聞いたことがないという意味。
ぼんのうぼだい【煩悩菩提】
悟りの障害となる人間の迷いの煩悩も、そのまま悟りにつながるきっかけとなること。悟りも悟りの実現を妨げる煩悩も、永久不変の真如しんにょの現れであり、人間の本性であるから、本来別のものでなく、二つは一体であるということ。また、迷いがあって初めて悟りもあるという意。▽大乗仏教の言葉。「煩悩」は心身を悩ます欲情の心の働きの意。「菩提」は一切の迷いのない悟りに至る境地の意。「煩悩即そく菩提」の略。
ませんてっけん【磨穿鉄硯】
強い意志をもち続け、物事を達成するまで変えないこと。また、学問にたゆまず励むたとえ。鉄でできている硯すずりをすり減らして、穴をあけるほど勉強するという意から。▽「磨」は磨滅させる、すり減らす意。「穿」はうがつ、穴をあける意。「鉄硯てっけんを磨穿ませんす」と訓読する。「鉄硯磨穿てっけんません」ともいう。
れいこんふめつ【霊魂不滅】
人間の魂は永遠で、肉体が死んでも変わらず存在しているという考え方。
ろうきふくれき【老驥伏櫪】
人が年老いても、なお若者と変わらぬ大志を抱くこと。もとは、年老いた駿馬しゅんめが活躍の場を失い、馬屋に伏していながら、なお若いころの千里を駆ける志を捨てない意。また、能力のある人が、それを発揮することなく老いるたとえとしても用いられることがある。▽「驥」は一日に千里を走る駿馬。「櫪」はくぬぎの木。くぬぎが床下の横木に用いられたことから転じて、ねだの意。ここでは馬屋のねだで、馬小屋のこと。「老驥ろうき、櫪れきに伏ふす」と訓読する。