ぼっちゃん【坊っちゃん】
夏目漱石の小説。明治39年(1906)発表。東京から四国の松山に赴任した中学教師「坊っちゃん」の、痛快な正義感あふれる行動を軽妙に描く。
みちくさ【道草】
夏目漱石の小説。大正4年(1915)発表。大学教授である主人公健三が、世俗的社会に束縛され、孤独に生きるさまを描いた自伝的作品。
めいあん【明暗】
夏目漱石の小説。大正5年(1916)発表。主人公津田由雄と妻お延の不安定な家庭生活を中心に、人間のエゴイズムを鋭く追求した作品。作者の死により未完に終わる。
めいじぶんだんかいこ【明治文壇回顧】
馬場孤蝶の著作。昭和11年(1936)刊。北村透谷、上田敏、夏目漱石、島崎藤村、堺利彦など文壇のさまざまな人々の思い出を語る。
もん【門】
夏目漱石の小説。明治43年(1910)発表。不義の結婚による夫婦のわびしい生活を通し、人生の深淵を描く。
やぶのむくじゅうとうきょうけんぶつ【藪野椋十東京見物】
渋川玄耳(筆名、藪野椋十)の随筆集。朝日新聞に連載されたのち、明治40年(1907)刊行。夏目漱石が序文を寄せている。
よゆう‐は【余裕派】
初期の夏目漱石を中心とする写生文系統の作家、高浜虚子(たかはまきょし)・鈴木三重吉らの一派。現実に対して一定の距離を置く心の余裕を唱えた。写生派。→彽徊(ていかい)趣味
わがはいはねこである【吾輩は猫である】
夏目漱石の小説。明治38〜39年(1905〜1906)発表。中学教師苦沙弥(くしゃみ)先生の飼い猫の目を通して、近代文明の中の人間を批判・風刺した作品。
わがはいはねこであるさつじんじけん【「吾輩は猫である」殺人事件】
奥泉光のファンタジー小説。平成8年(1996)刊。夏目漱石の小説「吾輩は猫である」の文体を模倣しつつ、溺死したはずの猫の「吾輩」が、仲間たちとともに苦沙弥(くしゃみ)先生の死の謎に迫る。