出典:青空文庫
・・・二 沼南は終始一貫清廉を立通した。少くも利権割取を政治家の余得として一進一退を総て金に換えて怪まない今の政界にあっては沼南は実に鶏群の一鶴であった。 が、清廉を看板にし売物にする結果が貧乏をミエにする奇妙な虚飾があった。・・・ 内田魯庵 「三十年前の島田沼南」
・・・ウォール街の実業家たちと宴会の席上で終始一貫反ユダヤ熱をあげて、プロテスタント機関紙『チャーチマン』に警告されている。また、アメリカ聖教会機関紙『ウイットネス』は、MRAの労資協調論を批評して「美くしい宗教言辞のかげでMRAはなぜ世界最大の・・・ 宮本百合子 「再武装するのはなにか」
・・・日本人の中には、人民の中には、終始一貫あの戦争に抗議していた者が少いけれどもちゃんと在りました。表にあらわされない抗議の精神はもっと広汎にありました。だからこそ民主主義の歩みだしがあったわけです。発言をおさえられ、おさえる力を系統的に打破し・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・これらの人々は、ゴーリキイのように終始一貫作家としての活動で歴史の推進に参加し、それを反映すると同時に進む歴史の指導的な力に導かれて偉大な完成を遂げた芸術家、或はフールマノフのように銃声の間にも手ずれたノートを皮外套の下から取り出して、その・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」