出典:青空文庫
・・・立ち出で供待ちに欠伸にもまた節奏ありと研究中の金太を先へ帰らせおのれは顔を知られぬ橋手前の菊菱おあいにくでござりまするという雪江を二時が三時でもと待ち受けアラと驚く縁の附際こちらからのように憑せた首尾電光石火早いところを雪江がお霜に誇ればお・・・ 斎藤緑雨 「かくれんぼ」
・・・のにはやはり電光石火の空中曲技が必要な場合が多いように思われる。たとえば実験的科学の研究者がその研究の対象とする物象に直面している際には、ちょうど敵と組み打ちしているように一刻の油断もならない。いつ何時意外な現象が飛び出して来るかもわからな・・・ 寺田寅彦 「空想日録」
・・・撃剣でも竹刀の打ち込まれる電光石火の迅速な運動に、この同じ手首が肝心な役目を務めるであろうということも想像されるであろう。 こんな話を偶然ある軍人にしたら、それはおもしろいことであると言ってその時話して聞かせたところによると、乗馬のけい・・・ 寺田寅彦 「「手首」の問題」