きゅうえんとうりん【窮猿投林】
困っているときには、あれこれとえり好みなどしている余裕はないたとえ。貧窮しているときには俸禄ほうろくや官職などをえり好みしている余裕はないたとえ。▽「窮猿」は追いつめられた猿。「投林」は林に飛び込む意。出典に「窮猿林に投ずるに豈あに木を択えらぶに暇いとまあらんや(追いつめられて林に飛び込んだ猿は、どうしてどの枝によじ登ろうかなどとかまっている余裕があろうか)」とあるのによる。この語は晋しんの李充りじゅうが将軍の参謀に薦められたとき、軍人では家の貧窮が救えないと判断して、それよりも下の位の地方官を選んだときに言ったもの。「窮猿きゅうえん林はやしに投とうず」と訓読する。
きゅうねんるいせい【窮年累世】
自分の一生から孫子の代までも。▽「窮年」は人の一生涯。「累世」は子々孫々の意。「年としを窮きわめ世よを累かさぬ」と訓読する。
きゅうふういんろ【吸風飲露】
仙人などの清浄な暮らしのこと。人間の食べている五穀を食べずに、風を吸い露を飲んで生活する意から。▽「風かぜを吸すい露つゆを飲のむ」と訓読する。
きょくすいりゅうしょう【曲水流觴】
屈曲した小川の流れに杯を浮かべ、それが自分の前を流れ過ぎてしまわないうちに詩歌を作り、杯の酒を飲むという風雅な遊び。もと陰暦三月三日(また、上巳じょうしの日)に行われた風習。▽「曲水」は曲折した小川の流れ。「觴」は杯の意。中国晋しん代、王羲之おうぎしが、会稽かいけいの蘭亭らんていで文人を集めて催したものが有名。「流觴曲水りゅうしょうきょくすい」ともいう。
きょししんたい【挙止進退】
人の立ち居振る舞いや身の処し方。▽「挙止」「進退」はともに立ち居振る舞い・動作・行動の意。また、身の処し方。「挙」は事を起こす、行動を起こす意。
きょそくけいちょう【挙足軽重】
ある人のわずかな挙動が全体に影響を及ぼすたとえ。小さな動きが全体に大きな影響を及ぼすたとえ。二つの勢力の間にあって第三者が左右どちらかに少し足を挙げて踏み出せば成り行きが決まってしまう意から。▽「挙足」は足を挙げて一歩踏み出す。出典によれば、足を左右どちらかに挙げて踏み出す意。「軽重」は軽いか重いかが決まる、重大なこととそうでないことが決まる、事の成り行きが決する意。
きんじゅういてき【禽獣夷狄】
中国周辺にいる異民族を卑しんでいう語。▽「禽獣」は鳥やけだもの。「夷狄」は異民族・未開人の意。
ぎゅういんばしょく【牛飲馬食】
大いに飲み食いをすること。また、人並み以上にむやみに飲み食いすること。牛が水を飲むように、また、馬がまぐさを食べるようにたくさん飲食する意から。
ぎゅうとうかっけい【牛刀割鶏】
取るに足りない小さなことを処理するのに、大げさな方法を用いるたとえ。小さな物事を裁くのに、大人物や大げさな方法・手段などは必要ないということ。また、それらを戒めた語。鶏をさばくのに牛を切る大きな包丁を用いる意から。▽「牛刀ぎゅうとうもて鶏にわとりを割さく」と訓読する。また「割鶏牛刀かっけいぎゅうとう」ともいう。
ぐんぎまんぷく【群疑満腹】
心が多くの疑問でいっぱいになること。また、多くの人がみな疑いの心を抱くこと。▽「群」は多いこと。また、多くの人の意。「群疑ぐんぎ、腹はらに満みつ」と訓読する。