[動ラ四]《「つかえまつる」の音変化で、主として平安時代に用いた》
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1 「仕える」の謙譲語。
㋐お仕え申し上げる。
「昔、二条の后に—・る男ありけり」〈伊勢・九五〉
㋑お供申し上げる。奉仕する。
「行幸には…世に残る人なく—・り給へり」〈源・紅葉賀〉
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2 「する」「おこなう」の謙譲語。尊者のために、何かをする。してさしあげる。また、お作り申し上げる。
「この歌は…召し上げられて—・れるとなむ」〈古今・秋下・左注〉
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3 (会話に用いる)「する」「おこなう」を聞き手に対しへりくだる気持ちをこめて丁重にいう。いたします。つかまつる。
「狐の—・るなり」〈源・手習〉
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4 (補助動詞)
㋐他の動詞に付いてその動作を尊者のためにする謙譲の意を添える。…してさしあげる。…申し上げる。
「心にまかせたる事、ひきいだし—・るな」〈源・澪標〉
㋑(会話に用いる)他の動詞に付いて、その動作を聞き手に対しへりくだる気持ちをこめて丁重にいう。…いたします。…ます。
「片目もあき—・らでは」〈枕・三一四〉