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・・・十五の年から茶屋酒の味をおぼえて、二十五の前厄には、金瓶大黒の若太夫と心中沙汰になった事もあると云うが、それから間もなく親ゆずりの玄米問屋の身上をすってしまい、器用貧乏と、持ったが病の酒癖とで、歌沢の師匠もやれば俳諧の点者もやると云う具合に・・・
芥川竜之介
「老年」
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・・・宇野浩二氏「器用貧乏」「木と金の間」をはじめとして、今年は系譜的な作品がどっさり書かれた。十二月の作品も寒川光太郎氏「嶺」半田義之氏「はずみ」野口富士男氏「河からの風」いずれも大別すれば系譜的な作品と云える性質をもっている。 今年特に系・・・
宮本百合子
「今日の文学の諸相」