あめいせんそう【蛙鳴蝉噪】
無駄な表現が多く、内容の乏しい下手な議論や文章。無用の口論や下手な文章をいう。蛙かえるや蝉せみがやかましく鳴くように、騒がしいだけでなんの役にも立たないという意から。▽「噪」は騒がしく鳴く意。「蝉噪蛙鳴せんそうあめい」ともいう。
かんこつだったい【換骨奪胎】
古人の詩文の表現や発想などを基にしながら、これに創意を加えて、自分独自の作品とすること。他人の詩文、また表現や着想などをうまく取り入れて自分のものを作り出すこと。骨を取り換え胎盤を奪い取って、自分のものとする意から。▽もと、「換骨」は凡骨を取り去って仙骨に取り替える、「奪胎」は胎盤を奪い生まれ変わらせる意で、修練をして根本から仙人に生まれ変わることをいう道家の語。転じて、詩文の創作法として「換骨」は、古人の詩文の意味を変えないで字句を変えること。「奪胎」は古人の詩文の内容・主意を取って作りかえること。今では、他人の作品の一部を作りかえて、新しいもののように見せかける意に用いられることもある。「奪胎換骨だったいかんこつ」ともいい、「奪」は「脱」とも書く。「骨ほねを換かえ胎たいを奪うばう」と訓読する。
かんのうとち【肝脳塗地】
むごたらしい死にざまや殺され方のこと。また、忠誠を誓って、どんな犠牲も惜しまないことのたとえ。死者の腹から内臓が飛び出し、頭が割られて脳味噌のうみそが出て泥まみれになっているさま。死者の肝臓や脳が泥まみれになっている意から。▽「肝脳」は肝臓と脳髄。「塗地」は土まみれになること。また転じて、戦いに負けるさま。「塗」はまみれる意。一般に「肝脳かんのう地ちに塗まみる」と訓読を用いる。
がいじゅうないごう【外柔内剛】
外見は穏やかでやさしそうだが、心の中は何事にも左右されない強い意志をもっていること。外見は弱々しく見えるが、案外気の強いことにもいう。▽「柔」は穏やかなこと。おとなしいこと。「剛」は意志などが強いこと。「内剛外柔ないごうがいじゅう」ともいう。
がしろうひょう【画脂鏤氷】
内実がしっかりしていないのに外側、外面を飾っても無駄であるたとえ。また、苦労し努力しても効果のないたとえ。力を無用なところに用いること。あぶらに画えがき氷に彫刻する意から。▽「脂」はあぶら。「鏤」はほる、刻みつける意。「画」は「かく」とも読む。「氷」は「冰」とも書く。「脂あぶらに画えがき氷こおりに鏤(ちりば・きざ)む」と訓読する。
がぞくせっちゅう【雅俗折衷】
風雅なものと卑俗なものを交ぜ用いること。また、文語体と口語体を適宜交ぜた文。小説などで、地の文は上品で優美な雅文、文語体を用い、会話文は口語体を用いるいわゆる雅俗折衷文のこと。▽明治時代初・中期に発達した。先駆けとして井原西鶴いはらさいかくなどがあり、坪内逍遥つぼうちしょうようなどが提唱した。
きせいかんわ【規制緩和】
行政当局による産業や経済に関する規制を廃止したり緩ゆるめたりすること。経済のサービス化や活性化を推し進めるため、規制緩和は世界的な潮流となっている。▽一九九〇年代の日本では、経済・社会面でさまざまな規制があり、国内外の経済活動に支障を来している。とりわけ、海外からの日本の市場参入を困難にしており、政府も課題だった規制緩和に本腰を入れ始めている。
きめんぶっしん【鬼面仏心】
表面は怖そうだが、内心はとてもやさしいこと。また、そのような人。鬼のように怖そうな顔に、仏のようなやさしい心の意から。
ゆうそくこじつ【有職故実】
朝廷や公家、武家の昔からの行事や法令・儀式・制度・官職・風俗・習慣の先例、典故。また、それらを研究する学問。▽「有職」は「ゆうしょく」「ゆうそこ」とも読む。「職」は、もと「識」と書いた。
ろうせいえんじゅく【老成円熟】
豊富な経験に裏打ちされて、人格・知識・技能・教養などが十分に熟達していること。▽「老成」は経験を十分に積んで物事にたけていること。「円熟」は人格や技量などが十分に発達していて、豊かな内容をもつこと。