ごえつどうしゅう【呉越同舟】
仲の悪い者同士や敵味方が、同じ場所や境遇にいること。本来は、仲の悪い者同士でも同じ災難や利害が一致すれば、協力したり助け合ったりするたとえ。▽「呉」「越」はともに中国春秋時代の国名。父祖以来の因縁の宿敵同士で、その攻防戦は三十八年に及んだという。
さいしゅうふくしゅう【載舟覆舟】
君主は人民によって支えられ、また、人民によって滅ぼされること。君主は人民を愛し、政治に安んじさせることが必要であるということをいう。また、人は味方して盛り立ててくれることもあれば、敵となってつぶしにかかることもあるということ。▽水は舟を浮かべるものであるが、同時に舟を転覆させもする意。君主を舟、民衆を水にたとえたもの。「舟ふねを載のせ舟ふねを覆くつがえす」と訓読する。
しこうしへい【至公至平】
このうえなく公平であること。また、そのさま。▽「至」はこのうえなく。「公平」のそれぞれの語に「至」を添えて意味を強めた語。
しまおくそく【揣摩臆測】
根拠もないのに、自分だけで勝手に推測すること。▽「揣摩」はあれこれ推し量ること。推し量る意の「臆測」に重ねて、意味を強調した語。「揣」は「すい」とも読む。「臆」は「憶」とも書く。
しゅうしょうろうばい【周章狼狽】
大いにあわてること。非常にあわてうろたえること。▽「周章」「狼狽」はともにあわてる意。「狼」「狽」はともに伝説上の獣で、狼は前足が長くて後足が極端に短く、狽は前足が極端に短くて後足が長い。狽が狼の後ろに乗るようにして二頭は常に一緒に行動するとされ、離れると動けず倒れてしまうことから、うまくいかない意、あわてふためく意に用いる。「周章」に「狼狽」を添えて意味を強調する。
じじぶつぶつ【事事物物】
あらゆる物事。一つ一つすべての事柄。それぞれの物事。▽「事物」のそれぞれの語を重ねて、意味を強めた語。
せんそんばんらく【千村万落】
たくさんの村落。▽「千」「万」は数の多いことを示す。村落が千も万もある、という意味。
せんなんこうかく【先難後獲】
難事を先にして利益を後回しにする意。まず人のために困難なことを行って、自分の利益になることは後回しにすること。また、はじめに難事を行えば、後でその利益を得られること。利益を得るためには、まず困難なことを行わなければならないという教え。▽「先難」は困難を先に行うこと。「後獲」は人に遅れて利益を取ること。または後に利益を得られるという意味。「難かたきを先さきにして獲うるを後あとにす」と訓読する。
とそううひ【兎走烏飛】
歳月のあわただしく過ぎ去るたとえ。月日の速く過ぎるたとえ。▽「烏」は日(太陽)、「兎」は月を意味し、転じて、月日・歳月のたとえ。太陽に三本足のからすがすみ、月にうさぎがすむという中国古代の伝説による。「烏飛兎走うひとそう」ともいう。
なむさんぼう【南無三宝】
仏に帰依きえを誓って、救いを求めること。また、突然起こったことに驚いたり、しくじったりしたときに発する言葉。「南無三なむさん」ともいう。▽前者の意は仏教語。「南無」は経典きょうてんや仏などの名の前につけて、それに対する絶対的帰依を誓う言葉。「三宝」は仏と仏の教えと教えを広める僧のことで、これを仏・法・僧という。救いを求めることから後者の意味が加わった。