いちまいかんばん【一枚看板】
一座の代表的な役者のこと。また、多くの人の中で中心となる人物のこと。また昔、武家で中間ちゅうげんや小者に支給された着物を「かんばん」と呼んだことから、一着しかない衣服、人に見せられるような着替えのないこと。▽「一枚看板」は、歌舞伎かぶきで、出し物の演目(外題げだい)や主な役者の名や絵姿を、一枚の看板に書いて、劇場の前に掲げたことから出た語で、一枚の看板に名前ののるほどの役者の意から転じた。
いってんいっかく【一点一画】
漢字の一つの点、一つの筆画。細かいところに気を配り、丁寧に文字を書くことをいう。
じゅうぜんじゅうび【十全十美】
完全で全く欠点のないこと。すべてがそろって完全なさま。▽「十全」は完全なこと、少しの欠点もないこと。「十美」も完璧かんぺきで、非の打ちどころのないさま。
ひゃくしゃくかんとう【百尺竿頭】
百尺もある竿の先端。転じて、到達しうる極限。最上の極地。
ふしつせいこく【不失正鵠】
物事の要点や急所を正確にとらえること。的まとをはずれないこと。▽「正鵠」は弓の的の中心。的の真ん中の黒い星をいう。転じて、物事の要点・急所の意。「正鵠せいこくを失うしなわず」と訓読する。「正鵠」を「せいこう」と読むのは慣用読み。
まじゅうせんかく【磨揉遷革】
教え諭して、人をよい方向に導くこと。▽「磨」は善をみがく、「揉」は欠点を正し直す意。「遷」は善にうつる、本来のよい状態に戻すこと。「革」はよい状態に改めること。
めいきょうしすい【明鏡止水】
邪念がなく、澄み切って落ち着いた心の形容。▽「明鏡」は一点の曇りもない鏡のこと。「止水」は止まって、静かにたたえている水のこと。「鏡」は「けい」とも読む。
らくひつてんよう【落筆点蠅】
過ちをうまく処理して、逆に上手に仕上げること。画家のすぐれた技をいうたとえ。誤って筆を落としてつけた墨の汚れを、うまく蠅はえに描く意から。▽「落筆」は筆を落とすこと。「点」は描く意。「落筆らくひつ蠅はえを点てんず」と訓読する。
りょくりんはくは【緑林白波】
泥棒・盗賊のこと。また、その潜伏場所をいう。▽中国新の王莽おうもうが天下を支配していたとき、緑林山に無頼の徒が立てこもり、そこを拠点にして強盗を働いていた。また、後漢ごかんの時代に張角ちょうかくを主領とし、頭に黄色の布切れをつけた黄巾こうきんの賊が白波谷を拠点として乱を起こしたことから、このような表現が生まれた。
ろんしめいかい【論旨明快】
文章や議論の主旨が、筋道が通っていて分かりやすいこと。また、そのさま。▽「論旨」は議論・意見の要点・主旨、「明快」は筋道がはっきりしていること。