いっきょりょうとく【一挙両得】
一つの行為で、同時に二つの利益が得られること。一つで二つの利益が得られること。また、わずかな労力で多くの利益を得るたとえ。▽「一挙」は一つの動作・行動。
おおばんぶるまい【大盤振舞】
盛大にごちそうしたり、気前よく物を与えたりすること。▽「大盤」は、高貴の人の家などで食べ物を入れた器を載せる台の意。もとは「椀飯振舞おうばんぶるまい」と書き、「椀飯」は椀わんに盛った飯をすすめる意。また、王朝時代には宮中で供せられる膳ぜん、江戸時代ごろには民家で正月に親戚しんせきなどを招いて、宴会を催すことをいった。「大盤」はこの「椀飯」の字から転じて、慣用化したものとされる。
がいだせいしゅ【咳唾成珠】
口から出たせきやつばきでさえ珠玉になるという意から。①一言一句が尊重されるほど、権勢が盛んなさま。②一言一句が美しく、詩文の才能に恵まれているさま。
きょくてんせきち【跼天蹐地】
恐れおののいてびくびくすること。ひどく恐れて身の置き所のないこと。また、世間をはばかって暮らすこと。天は高いのに身をかがめ、大地は厚いのに抜き足差し足でそっと歩く意から。▽「跼」は身をかがめて、せぐくまること。「蹐」は抜き足差し足で歩くこと。「跼」は「局」とも書く。「天てんに跼きょくし地ちに蹐せきす」と訓読する。略して「跼蹐」ともいう。
ぎょくせきどうさい【玉石同砕】
善悪・賢愚の区別なくすべて滅び、なくなるたとえ。宝玉と石ころがともに砕け、なくなる意から。▽「玉石ぎょくせき同ともに(同おなじく)砕くだく」と訓読する。
けいたんえいせき【形単影隻】
独りぼっちで孤独なこと。独り身で助けてくれる人のいないこと。からだも一つ、影も一つの意から。▽「形」はからだのこと。「隻」は一つの意。「影隻形単えいせきけいたん」ともいう。
じねんほうに【自然法爾】
浄土真宗じょうどしんしゅうで、自力をすて、如来にょらいの絶対他力にまかせきること。人為を捨て、ありのままにまかせること。▽仏教語。「自然」はおのずからそうであること。「法爾」はそれ自身の法則にのっとって、そのようになっていること。「法爾自然ほうにじねん」ともいう。
じゅげせきじょう【樹下石上】
出家行脚あんぎゃする者の境遇のたとえ。仏道を修行する者が宿とする、道ばたの木の下や石の上の意から。▽仏教語。「下」は「か」とも読む。「石上樹下せきじょうじゅげ」ともいう。
じんこうかいしゃ【人口膾炙】
だれの口にものぼり、広く世間に知られて、もてはやされること。▽「人口」は世人の口・うわさ。「膾」はなますで、細く切った生なまの肉、「炙」はあぶり肉のこと。どちらも美味で、だれの口にも合って好まれることから。一般には「人口じんこうに膾炙かいしゃする」と慣用する。「膾炙人口かいしゃじんこう」ともいう。「炙」は「せき」とも読む。
すんしんしゃくたい【寸進尺退】
少し進んで、大きく後退してしまうこと。また、得るものが少なく、失うことばかりであること。一寸(約三センチ)進んで、一尺(一寸の一〇倍)退くという意味。