あそうせいほう【鴉巣生鳳】
からすの巣におおとりが生まれること。愚かな親にすぐれた子が生まれるたとえ。また、貧しい家にすぐれた人物が生まれるたとえ。「とびが鷹たかを生む」の意。▽「鴉」はからす。「鳳」はおおとり。想像上の瑞鳥ずいちょうで、聖天子が出ると現れるとされる。「鴉巣あそうに鳳ほうを生しょうず」と訓読する。
うむそうせい【有無相生】
有と無は、有があってこそ無があり、無があってこそ有があるという相対的な関係で存在すること。また、この世のものはすべて相対的な関係にあること。▽「相生」は互いに生じ合うこと。もとは、人間の価値観は要するに相対的なものであって絶対的なものではないのに、それを絶対的なものと錯覚して、万物を勝手に歪曲わいきょくして秩序立てている人間の愚かさと危うさを警告した『老子』の中の語。「有無うむ相生あいしょうず」と訓読する。
ぐしゃのいっとく【愚者一得】
愚か者でも、ときには役に立つような知恵を発揮するということのたとえ。
ぐもんぐとう【愚問愚答】
くだらない問答のこと。つまらない質問と、ばかげた回答のこと。
けんめいぐまい【賢明愚昧】
賢くて道理に明るいことと、愚かで道理に暗いこと。▽「昧」は道理に暗い意。
こうせきゆうめい【考績幽明】
成績を審査して暗愚な者を退け、賢明な者を昇進させること。▽「考績」は官吏の成績を調べること。「幽明」は暗愚と賢明のこと。「幽」は暗い意。古代中国では三年に一度諸官の成績を調べ、それを三度(合計九年)調べて暗愚な者を退け、賢明な者を昇進させたという。
しゅしゅたいと【守株待兎】
いたずらに古い習慣やしきたりにとらわれて、融通がきかないたとえ。また、偶然の幸運をあてにする愚かさのたとえ。木の切り株を見守って兎うさぎを待つ意から。▽一般に「株かぶを守まもりて兎うさぎを待まつ」と訓読を用いる。
せいとうやご【斉東野語】
信じるに足りない、下品で愚かな言葉。中国斉せい国東部の田舎者いなかものの言葉つきの意から。▽「斉東」は斉(今の中国山東省)の東部。「野語」は野卑・下品な言葉。田舎いなかびた言葉。「斉東野人せいとうやじんの語」の略。
たいぎゅうだんきん【対牛弾琴】
牛に対して琴を弾いて聞かせる意から、何の効果もなく無駄なこと。愚かな人に深遠な道理を説いて聞かせること。せっかくの好意や努力が無駄に終わること。▽「牛うしに対たいして琴ことを弾だんず」と訓読する。
だいちふち【大智不智】
本当にすぐれた知恵者は、その知恵をひけらかさないので、一見無知な愚か者に見えるということ。利口ぶってはいけないと戒めるたとえ。