出典:青空文庫
・・・ 千篇一律で退屈をきわめる切り合いや追っ駆けのこんなに多く編入されているわけが自分には了解できない。あるいは、これがいちばん費用がかからないためかとも思う。 こういう時代物の映画で俳優たちのいちばんスチューピッドに見えるのは、彼らが・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」
・・・小都会の風物情緒を描く時には、それがあらゆる階級の男女や東西南北の諸地方を材料とするにかかわらず、またそれぞれの境遇や土地をおのおのその特性によって描いているにかかわらず、結局その作品の核をなすものは千篇一律に同じ観察だという感じを与えるの・・・ 和辻哲郎 「「自然」を深めよ」