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・・・輝くばかりで、やがて他の大一座が酒池肉林となっても、ここばかりは、畳に蕨が生えそうに見える。通りかかった女中に催促すると、は、とばかりで、それきり、寄りつかぬ。中でも活溌なのは、お誓さんでなくってはねえ、ビイーと外れてしまう。またそのお誓は・・・
泉鏡花
「燈明之巻」
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・・・これを喩えば、大廈高楼の盛宴に山海の珍味を列ね、酒池肉林の豪、糸竹管絃の興、善尽し美尽して客を饗応するその中に、主人は独り袒裼裸体なるが如し。客たる者は礼の厚きを以てこの家に重きを置くべきや。饗礼は鄭重にして謝すべきに似たれども、何分にも主・・・
福沢諭吉
「日本男子論」