きんおうむけつ【金甌無欠】
物事が完全で欠点がないたとえ。特に、外国からの侵略を受けたことがなく、安泰で堅固な国家や天子の位のたとえ。黄金の瓶かめに少しも欠け損じたところがない意から。▽「金甌」は黄金の瓶。高貴なものということから、国家や天子の位にたとえる。「金甌きんおう欠かくる無なし」と訓読する。
きんきかんしゅ【金亀換酒】
この上なく酒を愛することのたとえ。また、大切な友人を心からもてなすことのたとえ。
きんきじゃくやく【欣喜雀躍】
小躍りするほど大喜びをすること。▽「欣」「喜」はともに喜ぶ意。「雀躍」は雀すずめがぴょんぴょんと跳ね行くように喜ぶこと。
きんこんいちばん【緊褌一番】
気持ちを引き締めて事にのぞむこと。難事などを前に心を引き締めて物事に取り組むこと。難事や大勝負などの前の心構えを言ったもの。▽「緊褌」は褌ふんどしを引き締める意。「一番」は思い切って一度ほどの意。
きんしつそうわ【琴瑟相和】
人と人の仲、特に夫婦の仲がむつまじいことのたとえ。
きんしんしゅうこう【錦心繡口】
詩や文章を書く才能にすぐれていることのたとえ。また、そういう人をほめたたえるときにいうことば。
きんじょうてっぺき【金城鉄壁】
非常に守りの堅いことのたとえ。また、非常に堅固で、付け込むすきがないことのたとえ。金や鉄のようにきわめて堅固な城壁の意から。
きんせいぎょくしん【金声玉振】
才知や人徳が調和して、よく備わっているたとえ。すぐれた人物として大成することをいう。本来、鐘を鳴らして音楽を始め、磬けいを打って音楽をまとめ収束する意。▽「金」は鐘。「声」はここでは鳴らす意。「玉」は磬のことで、玉石で作った「へ」の字に曲がった打楽器。「振」はまとめ収めること。一説に整える意。「玉振」は磬を鳴らして曲をしめくくること。中国古代で音楽を奏するのに、まず鐘を鳴らして音楽を始め、次に糸・竹の楽器を奏でて、終わりに磬を打ってしめくくった。始まりと終わりの整っているさまをいい、もと孟子もうしが孔子の人格を賛美した語。
ぎしんあんき【疑心暗鬼】
疑いの心があると、なんでもないことでも怖いと思ったり、疑わしく感じることのたとえ。疑いの深さからあらぬ妄想にとらわれるたとえ。疑いの心をもっていると、いもしない暗闇くらやみの亡霊が目に浮かんでくる意から。▽「疑心」は疑う心。「暗鬼」は暗闇の中の亡霊の意。「疑心暗鬼を生ず」の略。「暗」は「闇」とも書く。
ぎゅうきだしん【牛鬼蛇神】
妖怪や鬼神。もとは怪しげでとりとめがなく、幻のような作風・作品のたとえ。どうにも奇妙でしまりがないさま。また、邪よこしまなことをするさまざまな悪人のたとえ。さらに容貌ようぼうの醜いたとえとして用いられることもある。▽「牛鬼」は頭が牛の形をした鬼神・怪物のこと。転じて、容姿が醜いたとえ。「蛇神」は顔が人で身体が蛇の姿をした神。