いちげんこじ【一言居士】
何事にも、必ず何かひとこと言わなければ気のすまない人のこと。▽「居士」は、もとは出家した僧侶そうりょではなく、在家で仏教に帰依する男子の称。わが国では男子が死んだ後、戒名の下につける称号。ここでは「一言抉こじるこじつける」を人名になぞらえていったもの。「言」は「ごん」とも読む。
いるいちゅうぎょう【異類中行】
仏が衆生しゅじょうを救うために、迷いの世界である俗世に身を投じること。また、禅僧が修行者を導くために、いろいろな方法を用いること。▽仏教語。「異類」は全く別のものの意。「異類の中を行く」という意。
うんすいあんぎゃ【雲水行脚】
僧が全国各地をめぐりながら修行すること。また一般に、人が行方を定めず思うままに旅すること。
えかだんぴ【慧可断臂】
非常に強い決意のほどを示すこと。また、切なる求道の思いを示すこと。▽「慧可」は中国南北朝時代後期の高僧で、禅宗の第二祖。「断臂」は臂ひじ(腕)を切り落とすこと。この語は後世、画題としても有名。
えんちょうこくい【円頂黒衣】
僧の姿かたちのこと。また、僧のこと。▽「円頂」は髪をそった丸い頭。「黒衣」は墨染めの法衣ほうえの意。
かんざんじっとく【寒山拾得】
中国唐代中期の寒山と拾得の二人の高僧。二人とも奇行が多く、詩人としても有名だが、その実在すら疑われることもある。拾得は天台山国清寺こくせいじの食事係をしていたが、近くの寒巌かんがんに隠れ住み乞食こじきのような格好をした寒山と仲がよく、寺の残飯をとっておいては寒山に持たせてやったという。また、この二人は文殊菩薩もんじゅぼさつ、普賢ふげん菩薩の生まれ変わりといわれる。画題としてもよく用いられる。
きえさんぽう【帰依三宝】
仏門に入って教えに従うこと。仏教徒としての基本的条件。▽仏教語。「三宝」は仏と仏の教えとその教えを広める僧のこと。これを仏・法・僧という。「帰依」は仏の教えや有徳の高僧の威徳にすがって付き従うこと。「三宝さんぽうに帰依きえす」と訓読する。
なんとほくれい【南都北嶺】
奈良と比叡山ひえいざんのこと。また、奈良の興福寺こうふくじと比叡山の延暦寺えんりゃくじのこと。▽「南都」は奈良のこと。奈良には仏教の大きな派閥が六つあったが、法相宗ほっそうしゅう興福寺はその代表。「北嶺」は比叡山のこと。延暦寺の僧兵は山法師、興福寺の僧兵は奈良法師として権勢を振るった。
にくじきさいたい【肉食妻帯】
僧侶そうりょが肉を食べ、妻をめとること。▽僧侶は殺生をしてはならず、禁欲生活を送るべきものであるという考え方から、かつて浄土真宗以外の宗派ではこれを禁じていた。「食」は「しょく」とも読む。
はかいむざん【破戒無慙】
戒律を破っているのに、それを恥と思っていないこと。また、そのさま。▽仏教語。「破戒」は、僧侶そうりょが守るべき不殺生ふせっしょう不偸盗ふちゅうとう不邪淫ふじゃいん不妄語ふもうご不飲酒ふおんじゅの五つの戒めを破ること。「慙」は恥じること。「慙」は「慚」とも書く。