きょうしゅぼうかん【拱手傍観】
手をこまねいて何もせず、ただそばで見ていること。特に重大な事態に直面して、当然なすべきことがあるのに、何もしないことを批判を込めて用いることが多い。▽「拱手」はもと中国の古式の敬礼の一つ。両手を胸の前に重ねる動作。転じて、手をこまねいて何もしないこと。「傍観」はただそばで見ていること。「拱」は「こう」とも読む。「傍」は「旁」とも書く。
きょくすいりゅうしょう【曲水流觴】
屈曲した小川の流れに杯を浮かべ、それが自分の前を流れ過ぎてしまわないうちに詩歌を作り、杯の酒を飲むという風雅な遊び。もと陰暦三月三日(また、上巳じょうしの日)に行われた風習。▽「曲水」は曲折した小川の流れ。「觴」は杯の意。中国晋しん代、王羲之おうぎしが、会稽かいけいの蘭亭らんていで文人を集めて催したものが有名。「流觴曲水りゅうしょうきょくすい」ともいう。
きんおうむけつ【金甌無欠】
物事が完全で欠点がないたとえ。特に、外国からの侵略を受けたことがなく、安泰で堅固な国家や天子の位のたとえ。黄金の瓶かめに少しも欠け損じたところがない意から。▽「金甌」は黄金の瓶。高貴なものということから、国家や天子の位にたとえる。「金甌きんおう欠かくる無なし」と訓読する。
きんこうぼくぜつ【金口木舌】
すぐれた言論で、世の人を指導する人のたとえ。口が金属で、舌が木で作られた大鈴の意から。▽「木鐸ぼくたく」のこと。古代中国で、官吏が法律や政令などを人民に告げ歩くとき鳴らした。「木」は「もく」とも読む。一世木鐸いっせいのぼくたく
きんじゅういてき【禽獣夷狄】
中国周辺にいる異民族を卑しんでいう語。▽「禽獣」は鳥やけだもの。「夷狄」は異民族・未開人の意。
きんせいぎょくしん【金声玉振】
才知や人徳が調和して、よく備わっているたとえ。すぐれた人物として大成することをいう。本来、鐘を鳴らして音楽を始め、磬けいを打って音楽をまとめ収束する意。▽「金」は鐘。「声」はここでは鳴らす意。「玉」は磬のことで、玉石で作った「へ」の字に曲がった打楽器。「振」はまとめ収めること。一説に整える意。「玉振」は磬を鳴らして曲をしめくくること。中国古代で音楽を奏するのに、まず鐘を鳴らして音楽を始め、次に糸・竹の楽器を奏でて、終わりに磬を打ってしめくくった。始まりと終わりの整っているさまをいい、もと孟子もうしが孔子の人格を賛美した語。
ぎょうこしゅんぼく【尭鼓舜木】
為政者は人民の諫いさめの言葉をよく聞くべきことのたとえ。また、広く人の善言をよく聞き入れるべきことのたとえ。尭帝の設けた太鼓と舜帝しゅんていの立てた木札の意から。▽「尭」「舜」は尭帝、舜帝のこと。いずれも中国古代の聖天子。
じんけんじゅうりん【人権蹂躙】
国家権力が、憲法に保障された国民の基本的人権を侵犯すること。人権を無視して不法な行為をしたり、不当に手荒く扱ったりすること。また、強い立場にある者が、弱い立場の者の人権を侵害すること。▽「蹂躙」はふみにじる意。
てんそんこうりん【天孫降臨】
記紀きき(『古事記』と『日本書紀』)の神話の中で、孫の天津彦彦火瓊瓊杵尊あまつひこひこほににぎのみことが国土平定のため、天照大神あまてらすおおみかみの命を受けて、高天原たかまがはらから日向国ひゅうがのくに(今の宮崎県)の高千穂たかちほ峰に天下ったこと。▽「天孫」は天照大神の孫の瓊瓊杵尊のこと。「降臨」は神仏が天界から地上に天下ること。「降」は「ごう」とも読む。
どごうれっしん【土豪劣紳】
思いのままに人民から搾取する、残酷な地方豪族・地方地主のこと。▽「土豪」は地方の豪族。「劣紳」は卑劣な紳士の意で、地方地主などを卑しめていう語。