いんきょうじゅうねん【韻鏡十年】
理解することが、きわめて難しいこと。『韻鏡』が難解で理解するのに十年はかかる意から。▽『韻鏡』は、唐末の漢字の音韻を研究し図示した書。鎌倉時代に伝わり、江戸時代になって漢字音研究に利用された。
うんりゅうせいあ【雲竜井蛙】
地位や賢愚などの差が非常に大きいことのたとえ。雲翔かける竜と井戸のかえるの意から。▽「雲竜」は雲高く翔る竜の意から、高貴または高いことのたとえ。「井蛙」は井戸のかえるの意で、貧賤ひんせんまたは低いことのたとえ。「竜」は「りょう」とも読む。
おおばんぶるまい【大盤振舞】
盛大にごちそうしたり、気前よく物を与えたりすること。▽「大盤」は、高貴の人の家などで食べ物を入れた器を載せる台の意。もとは「椀飯振舞おうばんぶるまい」と書き、「椀飯」は椀わんに盛った飯をすすめる意。また、王朝時代には宮中で供せられる膳ぜん、江戸時代ごろには民家で正月に親戚しんせきなどを招いて、宴会を催すことをいった。「大盤」はこの「椀飯」の字から転じて、慣用化したものとされる。
かいとうかいいん【誨盗誨淫】
財物を納めた倉庫の戸締りを怠ったり、女性がなまめかしい格好をしてあでやかな化粧をしたりすることは、盗賊に盗みを教え、異性にみだらなことをせよと言っているようなものだということ。災いをまねかないように用心せよという戒め。
ききいっぱつ【危機一髪】
ひとつ間違えば、非常な危険に陥ろうとする瀬戸際。髪の毛一本ほどのわずかな違いで、危険や困難に陥るかどうかの、きわめて危ない瀬戸際をいう。▽「危機」は非常に危ない状態。「一髪」は一本の髪の毛。
ききゅうそんぼう【危急存亡】
危険が切迫して存続するか滅びるか、生き残れるか死ぬかの瀬戸際のこと。▽「危急」は危険が迫ること。「存亡」は存続するか滅びるか、また、生きるか死ぬかの意。一般に「危急存亡の秋とき」と用いることが多い。秋は万物が実る季節であることから、大切な時の意。この熟語は個人よりも組織や集団の重大な局面についていうことが多い。
きゅうしいっしょう【九死一生】
危ういところで奇跡的に助かること。ほとんど死を避けがたい危険な瀬戸際で、かろうじて助かること。▽「九死」は十のうち九まで死の可能性が高いことで、ほとんど死が避けがたい危険な場合をいう。「一生」は十のうち一の生きる可能性の意。一般には「九死に一生を得る」という形で用いることが多い。
ちっきょへいもん【蟄居閉門】
江戸時代に、武士などに科した刑罰のこと。また、一般には、家や部屋に閉じこもって外出しないこと。
てんろうせつごく【天牢雪獄】
豪雪に埋もれ、行き来も思うようにならない状態を、天の作った牢獄にたとえた語。 [補説]出典は江戸時代の「沢内風土記」。沢内は岩手県和賀郡沢内村(現、西和賀町)のこと。
みょうじたいとう【名字帯刀】
江戸時代、血筋をあらわす家の名称(姓・名字)を名乗り、太刀を腰に差す武士の特権が、平民の身分でも庄屋や御用商人などの一部に特例として許されたこと。名字帯刀御免。