かんちゅうずいば【管仲随馬】
管仲が戦いの帰り道で道に迷ったとき、一度通った道を覚えているとされる老いた馬の知恵を借りようと、これを放ってそのあとに従い道を見出した故事。もと管仲のような知恵者ですら馬の知恵に頼るのに、人が聖人の知恵に頼らないことを戒めた語。のち転じて、先人の経験を尊重するたとえ。また、人には得意不得意があるたとえとして用いられることもある。
ぎゅうしゅうばぼつ【牛溲馬勃】
つまらないものや、役に立たない無用なもののたとえ。「牛溲」は牛の小便。「馬勃」は馬のくそ。一説に「牛溲」は下等な薬草のおおばこ。利尿作用があるという。「馬勃」は腐った木などに生えるきのこの類のほこりだけ。できものに効くといわれる。いずれも些細ささいなものであるからいう。「溲」は「そう」とも読む。また、「勃」は「渤」とも書く。
こぎゅうこば【呼牛呼馬】
相手の言うのにまかせて、自分では逆らわないことのたとえ。相手が自分を牛と呼べば自分は牛だと思い、馬だと呼ばれれば自分は馬だと思う意。▽「牛うしと呼よび馬うまと呼よぶ」と訓読する。
しょうじょしへき【相如四壁】
司馬相如しばしょうじょは若いころ非常に生活に困り、家はただ四方の壁しかなかった故事。▽「相如」は漢代の人、司馬相如。賦ふに巧みで、のちに武帝に重用された。
せんじょうばんき【千乗万騎】
大規模で堂々とした行列のこと。天子の行列のこと。▽「千」「万」は数の多いことを示す。「千乗」は兵車千台。「乗」は車を数える単位。「万騎」は騎馬隊一万騎。車や騎馬隊が非常に多く連なった権力者、おもに天子の行列を指す。
そうばかんか【走馬看花】
物をあわただしく大ざっぱにしか観察せず、理解の仕方が浅いこと。もとは科挙(官吏登用試験)に合格した者が馬を走らせ、得意げに都の花を見て回ったことをいう。▽「走馬」は馬を走らせること。「看花」は花を見ること。馬を走らせつつ花を見る、大急ぎで花を見る意。
そしゃはくば【素車白馬】
白い車と白い馬の意で、中国で葬儀に用いられた車馬のこと。▽「素車」は飾りがなく、着色を施さない車。白木の車。「白馬」は「素車」を引く白い馬。降参するときや罪をわびるとき、死を覚悟していることを示すために用いられる例もあった。
ばしとぞう【馬歯徒増】
なすこともなく、いたずらに年を取ること。自分が年取ったことの謙称。▽「馬歯」は「馬齢」に同じ。自分の年齢の謙称。「徒」はただいたずらにの意。一般に「馬歯ばし、徒いたずらに増ます」と訓読を用いる。
へいがせいく【並駕斉駆】
実力・能力・地位などに差がないこと。数頭の馬がくつわを並べて、一台の車を引っ張り疾走する意から。▽「駕」は馬車・のりもの。「斉」は等しい意。「駆」は馬が走ること。また、馬を走らせること。「斉駆並駕せいくへいが」ともいう。
べんせいしゅくしゅく【鞭声粛粛】
相手に気づかれないように、静かに馬に鞭むち打つさま。▽頼山陽らいさんようの詩句「鞭声粛粛夜よる河かわを渡わたる」とあるのが有名。これは川中島の戦いで上杉謙信うえすぎけんしんが武田信玄たけだしんげんの機先を制すべく、夜に妻女山さいじょざんを下って、敵に気づかれないように馬にあてる鞭の音も静かに、千曲川ちくまがわを渡ったことを詠んだもの。