いちぼくなんし【一木難支】
ひとたび崩壊しかかると、一人の力ではどうすることもできないということ。▽「一木、大廈たいかの崩くずるるを支ささうる能あたわず」が常用句。「大廈」は大きな建物。大きな建物が崩れるときは、もはや一本の柱では支えられない、という意。「一木いちぼく支ささえ難がたし」と訓読する。
いもんのぼう【倚門之望】
子の帰りを待ちわびる親の情のたとえ。子を思う親の愛情が切実なたとえ。特に母親の愛情についていう。門に寄りかかって望み待つ意から。▽「倚」は寄りかかる意。「望」は遠くを見やる意。
いんきょうじゅうねん【韻鏡十年】
理解することが、きわめて難しいこと。『韻鏡』が難解で理解するのに十年はかかる意から。▽『韻鏡』は、唐末の漢字の音韻を研究し図示した書。鎌倉時代に伝わり、江戸時代になって漢字音研究に利用された。
ぎょもうこうり【魚網鴻離】
求めるものが得られず、求めていないものが得られるたとえ。求めていたものとは違う意外なものが手に入るたとえ。魚を捕らえようと網を張ってあったのに鴻おおとりがかかる意から。▽「鴻」はおおとり。また、大きな雁がん。「離」は網にかかること。
さいしゅうふくしゅう【載舟覆舟】
君主は人民によって支えられ、また、人民によって滅ぼされること。君主は人民を愛し、政治に安んじさせることが必要であるということをいう。また、人は味方して盛り立ててくれることもあれば、敵となってつぶしにかかることもあるということ。▽水は舟を浮かべるものであるが、同時に舟を転覆させもする意。君主を舟、民衆を水にたとえたもの。「舟ふねを載のせ舟ふねを覆くつがえす」と訓読する。
さんぺいじまん【三平二満】
十分ではないが、少しのもので満足し、心穏やかに過ごすこと。▽「三」「二」はともに、数の少ないことを示す。また、別意で、額・鼻・下顎したあご(三つ)が平らで、両方の頬ほお(二つ)が膨れている顔、おかめ・おたふくのことをいう。「二」は「に」とも読む。
しひゃくしびょう【四百四病】
人のかかる病気のすべて。人体は地・水・火・風の四つの元素(四大しだい)から構成されていて、これが不調なとき、それぞれ百一の病気を生ずるとされる。▽仏教語。
しゅんかしゅうげつ【春花秋月】
春の花と秋の月。春に咲き乱れる生き生きとした花々や、秋の夜にかかる名月の澄んだ美しさをいう。
しょうろうびょうし【生老病死】
生まれること、老いること、病むこと、死ぬことの四つの苦。人生における免れない四つの苦悩のこと。▽仏教語。四苦ともいい、また、四天使ともいわれる。
せいうんしゅうげつ【晴雲秋月】
心に汚れがなく、澄みとおっているたとえ。▽「晴雲」は、晴れた空に浮かぶ白雲のこと。「秋月」は、秋の澄んだ空にかかる月の意。