きょじつひまく【虚実皮膜】
芸は実と虚の境の微妙なところにあること。事実と虚構との微妙な境界に芸術の真実があるとする論。江戸時代、近松門左衛門ちかまつもんざえもんが唱えたとされる芸術論。▽「虚実」はうそとまこと。虚構と事実。「皮膜」は皮膚と粘膜。転じて、区別できないほどの微妙な違いのたとえ。「膜」は「にく」とも読む。
しんこうこうるい【深溝高塁】
堅固な城塞じょうさいとりでのこと。また、守りの固いこと。深い掘り割りと高いとりでということから。▽「溝」はみぞで、ここは堀のこと。「塁」は土を重ねて作られた小城。
しんぞくにたい【真俗二諦】
仏語。真諦と俗諦。浄土真宗では、仏法を真諦、王法を俗諦として相依(そうえ)相資の関係にあるとする。
じょうこしゃそ【城狐社鼠】
君主や権力者のかげに隠れて、悪事を働く者のたとえ。城や社という安全なところに巣くって、悪さをするきつねやねずみの意から。▽「城狐」は城に棲すむきつね。「社」は土地神を祭るやしろ。「社鼠城狐しゃそじょうこ」ともいう。
せんりどうふう【千里同風】
世の中がよく治まっていて平和であること。逆に世の中全体が混乱していることをいうときもある。▽「千里」は遠く離れた地域。「同風」は同じ風が国土の隅々まで行き渡っている意味。「風」は風俗・教化の意。
ぞくさんへんち【粟散辺地】
粟粒あわつぶを散らしたような辺境の小国。▽「粟散」は粟散国(粟のように散在する小国)のこと。「辺地」は最果ての地。特に日本人自身が、日本のことを中国やインドと対照させて、このように表現するときがある。「辺地粟散へんちぞくさん」ともいう。
だんがんこくし【弾丸黒子】
きわめて狭い土地のたとえ。▽「弾丸」はすずめなどを捕るために使うはじき玉。「黒子」はほくろ。「黒痣」とも書く。
てんがいちかく【天涯地角】
二つの土地がきわめて遠く離れていることのたとえ。また、はるか遠く辺鄙へんぴな場所のたとえ。▽「天涯」は空の果て、「地角」は大地の果ての意。天の果てと地の果ての意から。「地角天涯ちかくてんがい」ともいう。
どかいさんとう【土階三等】
入り口にある土の階段が三段しかない、質素な宮殿のたとえ。転じて、住居や生活の質素なことのたとえ。▽「等」は階段の段のこと。
どごうれっしん【土豪劣紳】
思いのままに人民から搾取する、残酷な地方豪族・地方地主のこと。▽「土豪」は地方の豪族。「劣紳」は卑劣な紳士の意で、地方地主などを卑しめていう語。