ぎゅうきどうそう【牛驥同皁】
賢者が愚者と同一の待遇を受けるたとえ。賢者が粗末に扱われるたとえ。また、賢者と凡人が混じるたとえ。足ののろい牛と一日に千里を走る駿馬しゅんめが、一緒の飼い葉桶おけの餌えさを食べる意から。また、牛馬と飼い葉桶を同じくして養われる意から。▽「驥」は一日に千里走ることのできる駿馬。「皁」は飼い葉桶の意。「牛驥ぎゅうき皁そうを同おなじうす」と訓読する。
くぶくりん【九分九厘】
ほとんど完全に近いこと。ほとんど間違いなく確実なこと。推測・予想などがほぼ確実であること。十分のうち一厘を残すだけの意から。
こふくげきじょう【鼓腹撃壌】
太平の世の形容。太平で安楽な生活を喜び楽しむさま。善政が行われ、人々が平和な生活を送るさま。満腹で腹つづみをうち、足で地面をたたいて拍子をとる意から。▽「鼓腹」は腹つづみをうつこと。「壌」は土・地面。「撃壌」は地面をたたいて拍子をとること。一説に木製の履物を遠くから投げて当てる遊びの名ともいう。「腹はらを鼓こし壌つちを撃うつ」と訓読する。「撃壌鼓腹げきじょうこふく」ともいう。
さくそくてきり【削足適履】
本末を取り違えて、無理に物事を行うたとえ。折り合いをつけて、無理に合わせるたとえ。また、目先のことにとらわれて、根本を考えないたとえ。大きな足を削り落として、靴に合わせる意から。▽「適」は合わせること。「履」は靴・はきものの意。「足あしを削けずりて履くつに適てきせしむ」と訓読する。
さんぶんていそく【三分鼎足】
互角の力を持つ三者が、分かれて並び立つこと。三みつどもえ。天下を三分して、三つの国がそれぞれ勢力を争うこと。
さんぺいじまん【三平二満】
十分ではないが、少しのもので満足し、心穏やかに過ごすこと。▽「三」「二」はともに、数の少ないことを示す。また、別意で、額・鼻・下顎したあご(三つ)が平らで、両方の頬ほお(二つ)が膨れている顔、おかめ・おたふくのことをいう。「二」は「に」とも読む。
しようまっせつ【枝葉末節】
主要でない部分。些細ささいな部分。本質からはずれた些末さまつなこと。▽「枝葉」は枝と葉で、幹が主要なもののたとえであるのに対して、主要でない部分のたとえ。「末節」は木の末のほうの節ふしの意で、主要でない些末な部分のたとえ。
ちょうようぼぶん【朝蠅暮蚊】
小人物がはびこるたとえ。朝には蠅はえが集まり、暮れには蚊が集まる意から。▽「蠅」「蚊」ともに小人物のたとえ。
にそくさんもん【二束三文】
売値が非常に安いこと。いくら売っても、もうけが出ないほどの安値で売ること。投げ売り。▽昔、金剛草履(藁わらや藺いなどで作られた大形で丈夫な草履)は、二足でわずか三文の値段で売られていたことから。「束」は「足」とも書く。
ばんのういっしん【万能一心】
何事をするにも、心を集中してしなければならないということ。また、あらゆる技芸をこなせても、真心が欠けていれば、何の役にも立たないということ。万能よりも真心が大切なことをいう。また、真心をこめてする意に用いられることもある。▽「万能足りて一心足らず」の略。「万」は「まん」とも読む。