出典:青空文庫
・・・如何に少い方が大義名分を立てゝその行為を飾ろうとも、実質が泥棒であることに変りはない。 又、三人の泥棒が、その縄張り地域の広狭から、それを公平に分配することを問題にして、喧嘩を始めたらどうであるか。如何に正義、人道を表面に出して、自己の・・・ 黒島伝治 「反戦文学論」
・・・この点に就ては我輩も氏の事業を軽々看過するものにあらざれども、独り怪しむべきは、氏が維新の朝に曩きの敵国の士人と並立て得々名利の地位に居るの一事なり(世に所謂大義名分より論ずるときは、日本国人はすべて帝室の臣民にして、その同胞臣民の間に敵も・・・ 福沢諭吉 「瘠我慢の説」
・・・ 読者である大衆に対して、そういう態度をつづけることは無責任であるという風に私は考え、いわば大義名分をあきらかにせずにはいられないような情熱に動かされてその批評、感想を一緒にしたような文章を書いたのであった。 その文章にふくまれた理・・・ 宮本百合子 「近頃の感想」
・・・そこに文学者として文学者でない一般社会人にアッピールしうる大義名分がある。その大義名分によって、文学者たちも市民として、事実にもとづかない根拠によって圧迫して来る法律とたたかう必然が人々に共感される。文学者と世界平和運動というスケールでは、・・・ 宮本百合子 「人間性・政治・文学(1)」