がくちりこう【学知利行】
人が踏み行うべき人倫の道を後天的に学んで理解し、その正しさを知り認めて、初めて実践すること。人が踏み行うべき人倫の道を認識し、実践していく三つの道程、すなわち、生まれつき先天的にそれをもっている完全な道徳的人間の「生知安行」、生まれつきにはもっていないが、後天的にそれを認識し学んで正しいと知り、初めて実践する「学知利行」、生まれつき聡明そうめいでなく、発憤して心を苦しめ、やっとのことでそれを認識し、一心に努力を重ねて実践する「困知勉行こんちべんこう」のうちの一つ。▽「学知」は人倫の道を先天的でなく学んで知ること。「利行」はよい、また役に立つと認めて実践すること。
がぞくせっちゅう【雅俗折衷】
風雅なものと卑俗なものを交ぜ用いること。また、文語体と口語体を適宜交ぜた文。小説などで、地の文は上品で優美な雅文、文語体を用い、会話文は口語体を用いるいわゆる雅俗折衷文のこと。▽明治時代初・中期に発達した。先駆けとして井原西鶴いはらさいかくなどがあり、坪内逍遥つぼうちしょうようなどが提唱した。
きみょうちょうらい【帰命頂礼】
地に頭をつけて礼拝し、深く帰依きえの情をあらわすこと。心から仏に帰依すること。▽仏教語。「帰命」は仏の教えを深く信じ、身命を投げ出して帰依し従う厚い信心のこと。身命をささげて仏・法・僧の三法に帰依すること。「南無なむ」とほぼ同意。「頂礼」は頭を地につけてする礼。頭を地につけ尊者の足下を拝する。「五体投地ごたいとうち」ともいい、古代インドの最高の敬礼。
きゅうしいっしょう【九死一生】
危ういところで奇跡的に助かること。ほとんど死を避けがたい危険な瀬戸際で、かろうじて助かること。▽「九死」は十のうち九まで死の可能性が高いことで、ほとんど死が避けがたい危険な場合をいう。「一生」は十のうち一の生きる可能性の意。一般には「九死に一生を得る」という形で用いることが多い。
きゅうりゅうゆうたい【急流勇退】
官職などをいさぎよく、きっぱりと辞めること。船が急流中で勇敢にさっと引き返すように、仕事の調子のいいうちに、機を見て辞職する意から。▽「勇退」は勇敢に退くこと。また、思い切りよく地位を退くこと。
きょうきんしゅうれい【胸襟秀麗】
考え方や心構えが正しく立派なさま。▽「胸襟」は胸のうち・心の中の意。「襟」も心・胸の意。「秀麗」はすぐれて美しいさま。
きょくすいりゅうしょう【曲水流觴】
屈曲した小川の流れに杯を浮かべ、それが自分の前を流れ過ぎてしまわないうちに詩歌を作り、杯の酒を飲むという風雅な遊び。もと陰暦三月三日(また、上巳じょうしの日)に行われた風習。▽「曲水」は曲折した小川の流れ。「觴」は杯の意。中国晋しん代、王羲之おうぎしが、会稽かいけいの蘭亭らんていで文人を集めて催したものが有名。「流觴曲水りゅうしょうきょくすい」ともいう。
くぶくりん【九分九厘】
ほとんど完全に近いこと。ほとんど間違いなく確実なこと。推測・予想などがほぼ確実であること。十分のうち一厘を残すだけの意から。
けいていげきしょう【兄弟鬩牆】
兄弟が、かきねの内(家の中)でけんかをする。兄弟のうちわもめのこと。また、味方どうしの争いのこと。
こくしむそう【国士無双】
国中で並ぶ者がないほどすぐれた人物のこと。▽「国士」は国の中で傑出した人のこと。「無双」は二つとない、並ぶものがないこと。もと、漢かんの蕭何しょうかが、後に軍の指揮官として漢王朝の成立に大功をあげた韓信かんしんを評して、劉邦りゅうほう(漢の高祖)に推薦したときの語。