そくてんきょし【則天去私】
小さな私にとらわれず、身を天地自然にゆだねて生きて行くこと。▽「則天」は天地自然の法則や普遍的な妥当性に従うこと。「去私」は私心を捨て去ること。夏目漱石そうせきが晩年に理想とした境地を表した言葉で、宗教的な悟りを意味するとも、漱石の文学観とも解されている。「天てんに則のっとり私わたくしを去さる」と訓読する。
てんりじんよく【天理人欲】
天地自然の条理と人の欲望。人間の心の中に本性として存在する天の道理と、心が外からの影響を受けて生じる感情や欲望。▽「天理」は人為ではない万物の正しい道理。万物の調和を保つ条理。また、人間も含めて万物の本性。「人欲」は、心が外界に触発されて生じる動き。人の本性を覆い隠すもの。
ひゃくいひゃくじゅん【百依百順】
何でも人の言いなりになること。▽「依」は寄りかかる、もたれる、頼る意。「順」は逆らわない、従う意。「百順百依ひゃくじゅんひゃくい」ともいう。
ふしょうふずい【夫唱婦随】
夫婦の仲が非常によいこと。夫が言い出し妻がそれに従う意から。▽「唱」は言い出すこと。提唱。「唱」は「倡」とも書く。
ふたまたこうやく【二股膏薬】
そのとき次第でどちらの側にも従うこと。また、その人。定見なく、あっちへついたり、こっちへついたりする節操のない人。▽「二股」は内股の意。「膏薬」は練り薬。内股に貼はった薬は、歩くうちに左右の足にあちこちつくことからいう。「膏」は「ごう」とも読む。
めんじゅうこうげん【面従後言】
面と向かったときはこびへつらって従うが、陰ではあれこれと悪口を言うこと。▽「面従」は人の面前でだけ従うこと。「後言」は陰で悪口を言うこと。
めんじゅうふくはい【面従腹背】
うわべだけ上の者に従うふりをしているが、内心では従わないこと。▽「面従」は人の面前でだけ従うこと。「腹」は心の中のこと。「背」は背くこと。