なんざんふらく【南山不落】
永遠に崩れ落ちないこと。城や要塞ようさいなどが非常に堅固で、陥落しがたいことを述べた言葉。▽「南山」は中国の長安ちょうあんの南にある終南山しゅうなんざんのこと。堅固で崩壊しない物事のたとえに用いられる。「不落」は陥落しないこと。
なんせんほくば【南船北馬】
全国を忙しく旅行すること。また、絶えず旅をしてせわしないこと。▽「南船」「北馬」は中国の交通手段。南は川が多いので船が用いられ、北は山が多く、馬をよく用いた。そうした移動手段に絶えず乗っていることから、頻繁に旅をする意。
はいぐんのしょう【敗軍之将】
戦いに敗れた将軍のこと。物事に失敗した人の場合にもいう。▽「敗軍の将は兵を語らず」の形で用いられることが多い。戦いに敗れた将軍は、兵法について語ってはいけないという意。いさぎよく負けを認めて、あれこれ弁解してはならず、また、失敗した事柄について意見をしてはいけないという意。
はいりゅうざんか【敗柳残花】
美人が盛りを過ぎて、容貌ようぼうが衰えたことのたとえ。また、妓女ぎじょや不貞の女性などのたとえ。▽「敗柳」は枯れた柳。「敗」はものが腐ったり枯れたりすること。「残花」は花の咲き残り。すでに色香が落ちたものをいう。中国では柳葉眉りゅうようび柳腰りゅうよう花顔かがんというように、柳や花は美人を形容するときに用いられるが、それが枯れて花がらが残った様子は、すなわち美人の容貌の衰えを示すことが多い。
はっぽうびじん【八方美人】
だれに対しても、如才じょさいなく振る舞うこと。また、そのような人。どこから見ても欠点のない美人の意から。▽「八方」はあらゆる方向。この言葉は、悪い意味で用いられることが多い。
ばっぽんそくげん【抜本塞源】
災いの原因になるものを、徹底的に取り除くこと。木の根を抜き、水源をふさぎ止める意から。もとは、根本を忘れて道理を乱すたとえとして用いられたが、現在では前者の意に用いられることが多い。▽「本」は木の根。「源」は水源。「本もとを抜ぬき、源みなもとを塞ふさぐ」と訓読する。
ばつらいほうおう【抜来報往】
急いでやって来たり、速やかに去ったりすること。また、たびたび行き来すること。また、往復の旅行で中間の駅を経ずに、急ぎ往復する意から、物事の次第・順序を飛び越えて行うたとえとして用いられることもある。▽「抜」「報」はともに疾はやい、急速にの意。「抜とく来きたり報とく往ゆく」と訓読する。
ばんのういっしん【万能一心】
何事をするにも、心を集中してしなければならないということ。また、あらゆる技芸をこなせても、真心が欠けていれば、何の役にも立たないということ。万能よりも真心が大切なことをいう。また、真心をこめてする意に用いられることもある。▽「万能足りて一心足らず」の略。「万」は「まん」とも読む。
ひけんしつえい【被堅執鋭】
堅固なよろいを身にまとい、鋭利な武器を持つこと。多く将軍が自ら前線で敵に当たる意に用いられた。▽「被堅」は堅いよろいを身につけること。「執鋭」は鋭い武器を持つこと。「被」は「披」とも書く。また「執」は「しゅう」とも読む。「堅けんを被こうむり鋭えいを執とる」と訓読する。
ふうきふうん【富貴浮雲】
富と地位は、浮き雲のようなものである意。人としての道を逸脱して得た富や地位は、はかなく頼りにならないこと。また、名利に無関心で金銭や地位に心を動かされることのないたとえ。一般に富と地位は、はかなく頼りにならないものである意にも用いられる。▽「富貴」は財産があって身分が高いこと。