いちやじっき【一夜十起】
人間は多かれ少なかれ私情や私心に左右され、私心をすべて捨て去ることが難しいことのたとえ。▽「一夜」は一晩、「十起」は十回起きること。「一夜いちやに十とたび起おく」と訓読する。
いっぴつまっさつ【一筆抹殺】
すべてを消し去ること。帳消しにすること。よく考えることなく、軽率に過去の美点や功績をすべて消し去ってしまうこと。▽「抹殺」は消してなくす、塗り消す意。人や物事の存在を否定すること。「殺」は助字。
うとそうそう【烏兎匆匆】
歳月のあわただしく過ぎ去るたとえ。▽「烏兎」は歳月・月日の意。太陽には三本足のからすが棲すんでおり、月にはうさぎが棲んでいるという古代中国の伝説による。「匆匆」は急ぐさま、あわただしいさま。「匆匆」は「怱怱」とも書く。
うんえんかがん【雲烟過眼】
雲やかすみが目の前を過ぎ去ってとどまらないように、物事に深く執着しないたとえ。物事に心をとめないで淡泊なたとえ。また、物事の過ぎ去ってとどまらないことのたとえ。▽「雲烟」は雲とかすみ。雲とけむり。「過眼」は目の前を過ぎ去ること。「烟」は「煙」とも書く。「過眼雲烟かがんうんえん」ともいう。
うんさんむしょう【雲散霧消】
雲が散り霧が消え去るように、あとかたもなく消えてなくなること。
かくぶつちち【格物致知】
物事の道理や本質を深く追求し理解して、知識や学問を深め得ること。『大学』から出た語で、大きく分けて二説ある。宋そうの朱熹しゅきは出典を「知を致いたすは物に格いたるに在り」と読んで、自己の知識を最大に広めるには、それぞれの客観的な事物に即してその道理を極めることが先決であると解釈する。一方、明みんの王守仁おうしゅじん(王陽明)は「知を致すは物を格ただすに在り」と読んで、生まれつき備わっている良知を明らかにして、天理を悟ることが、すなわち自己の意思が発現した日常の万事の善悪を正すことであると解釈している。他にも諸説ある。▽「致知格物ちちかくぶつ」ともいう。
がんちゅうのくぎ【眼中之釘】
自分に害をなすもののたとえ。邪魔者、いやなやつ、憎らしい人などのたとえ。眼の中の釘(目の中の障害物)の意から。▽類句として「眼中抜釘(眼中より釘を抜く)」があり、自分に害を与えるものを取り去る、害をなすものがいなくなる意。一般には邪魔者がいなくなったときに「眼中の釘が抜けたようでせいせいした」などと用いる。「釘」は「丁」とも書く。
さいかいもくよく【斎戒沐浴】
神仏に祈ったり神聖な仕事に従事したりする前に、飲食や行動を慎み、水を浴びて心身を清めること。▽「斎戒」は物忌みをすること。神をまつるときなどに、心身を清め汚れを去ること。「沐浴」は髪やからだを洗い清めること。「沐浴斎戒もくよくさいかい」ともいう。
ざいごうしょうめつ【罪業消滅】
現世での罪深い悪い行為も、仏道修行をすることで、消し去ることができるということ。▽仏教語。「罪業」はかつて作った罪。罪となる悪い行為。道理に背いた苦の報いを受ける行為。
しゅしゃせんたく【取捨選択】
悪いもの、不必要なものを捨てて、よいもの、必要なものを選び取ること。取るべきものと捨てるべきものとを選択する意から。▽「取捨」はよいものを取り、悪いものを捨てること。「選択」はよりよいものを選び出すこと。