いちえいいちじょく【一栄一辱】
人は社会の状況などによって、栄えることもあれば、恥辱にまみれることもあること。栄えているときは戒めとして、衰えているときは慰めの語として用いる。また、人の世のはかなさをいう。▽「辱」ははずかしめを受けること。「一」はあるときは、の意。
いっぱいとち【一敗塗地】
再び立ち上がることができないほど大敗すること。完敗すること。▽「塗地」は肝脳を地に塗る、すなわち惨殺され、戦死者の肝臓や脳などが大地に散乱して、泥まみれになること。一般に「一敗いっぱい、地ちに塗まみる」と訓読を用いる。
かんのうとち【肝脳塗地】
むごたらしい死にざまや殺され方のこと。また、忠誠を誓って、どんな犠牲も惜しまないことのたとえ。死者の腹から内臓が飛び出し、頭が割られて脳味噌のうみそが出て泥まみれになっているさま。死者の肝臓や脳が泥まみれになっている意から。▽「肝脳」は肝臓と脳髄。「塗地」は土まみれになること。また転じて、戦いに負けるさま。「塗」はまみれる意。一般に「肝脳かんのう地ちに塗まみる」と訓読を用いる。
ごじょくあくせ【五濁悪世】
末世。末法の世。五つの汚れに満ちた悪い世の意。▽仏教語。「五濁」は五つの汚れ。劫濁こうじょく(時代の汚れ。以下の四濁の起こる時代)・煩悩濁ぼんのうじょく(貪むさぼりや怒りなど人の浅ましさがはびこる)・衆生濁しゅじょうじょく(心身が弱く苦しみが多く、人の資質が低下する)・見濁けんじょく(誤った悪い思想・考え)・命濁みょうじょく(寿命が短くなり、最後には十歳になる)をいう。
ぞくしゅうふんぷん【俗臭芬芬】
俗っぽく下品であること。世俗にまみれていること。金銭欲や名誉欲が強く、それを隠そうともしないこと。
てんたいとそく【霑体塗足】
つらい労働の様子。からだをぬらし、足を泥まみれにして、田畑で仕事をする姿から。▽「霑」はぬらすこと。「霑体」はからだをぬらす意。「塗」は泥にまみれる意。「体からだを霑うるおし、足あしに塗ぬる」と訓読する。
ないせいがいだく【内清外濁】
乱れた世の中を生き抜く、処世術の一つ。心の中は清潔でありながら、うわべでは世俗にまみれて汚れたふりをすること。▽「内」は内面・心の中の意。「外」は外見に現れる部分のこと。あえて正義を主張するようなことはしないで、世俗との衝突を避け、心の中に清潔な心をしまっておくこと。
にがびゃくどう【二河白道】
極楽浄土に往生したいと願う人の、入信から往生に至る道筋をたとえたもの。▽仏教語。「二河」は南の火の川と、北の水の川。火の川は怒り、水の川はむさぼる心の象徴。その間に一筋の白い道が通っているが、両側から水火が迫って危険である。しかし、後ろからも追っ手が迫っていて退けず、一心に白道を進むと、ついに浄土にたどりついたという話。煩悩にまみれた人でも、念仏一筋に努めれば、悟りの彼岸に至ることができることを説いている。
ほうとうこうめん【蓬頭垢面】
身だしなみに無頓着むとんちゃくで、むさくるしいこと。また、疲れ切った貧しい様子。乱れた髪と垢あかまみれの顔の意から。▽「蓬頭」はよもぎのような、ぼさぼさに乱れた髪。「蓬」はよもぎの意。「垢面」は垢まみれの顔。「垢」は「く」とも読む。