1 五十音図ナ行の第3音。歯茎鼻音の有声子音[n]と母音[u]とから成る音節。[nu]
2 平仮名「ぬ」は「奴」の草体から。片仮名「ヌ」は「奴」の旁 (つくり) から。
ぬま。多く複合語として用いる。「隠 (こも) り沼」
「行くへなみ隠 (こも) れる小 (を) ―の下思 (したも) ひに我 (あ) れそ物思ふこのころの間」〈万・三〇二二〉
玉。赤色の玉。
「―な音 (と) ももゆらに、天 (あめ) の真名井 (まなゐ) に振りすすぎて」〈記・上〉
1 打消しの意を表す。「まかぬ種は生えぬ」「思わず叫ぶ」「勉強をしない生徒がよい成績をとれるはずがありません」
2 (「てはいかん」「てはならぬ(ん)」の形で)禁止の意を表す。「高山植物を採ってはいかん」
3 (「ねばならぬ(ん)」「ねばなるまい」の形で)当然・義務の意を表す。「明日は会社に八時までに行かねばならぬ」
4 (「ずともよい」「ぬともよい」「んでもいい」の形で)許容・許可の意を表す。「君は行かずともよい」「風邪をひいているから風呂はわかさんでもいい」
5 (文末にあって「ん」「ぬ(ん)か」の形で)催促・勧誘・依頼の意を表す。「早く起きんか」「あなたも体操をなさいませんか」
「三谷さんに一服さしあげて下さいません?」〈康成・千羽鶴〉